■公開処刑さながらの惨劇「ボージャック」

 最後に挙げるのが、1993年公開の『ドラゴンボールZ 銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴』に登場したボージャックである。その恐怖の本質は、圧倒的な武力だけでなく、“徹底した卑劣さと残虐性”にあった。

 海賊を思わせる派手な衣装に身を包んだボージャック一味は、かつて東西南北の銀河を荒らし回ったヘラー一族の戦士である。4人の界王によって封印されていたが、セルとの戦いで北の界王が命を落としたことで封印が解かれ、再び宇宙へと解き放たれた。

 映画の序盤、「天下一大武道大会」の決勝ステージへ進んだ地球の戦士たちは、そこに紛れ込んでいたボージャックの部下たちによって次々と追い詰められていく。

 恐怖を際立たせたのは、その戦いが「見世物」として進行していた点だろう。大会会場の大型モニターやテレビ中継を通じて、観客たちは地球の戦士たちが蹂躙されていく様子をリアルタイムで目撃することになった。

 さきほどまで歓声に包まれていた武道大会が、一瞬にして公開処刑さながらの惨劇の舞台へと変貌していく。この演出には、劇場版ならではの不穏さがあった。

 だが、セルゲームで命を落とした悟空にかわり、本作の主役である孫悟飯が超サイヤ人2へと覚醒すると戦況は一変。追い詰められたボージャックが見せたのが、冷酷さを決定づける行動だった。

 部下である女性戦士・ザンギャの背後に回ると、そのまま彼女ごと強力なエネルギー波を悟飯へ放ち、一瞬の迷いもなく捨て駒にしたのである。

 最終的に悟飯に敗れ去ったボージャックだが、その恐ろしさは単なる強さだけではない。公開処刑さながらの残虐な戦いが醸し出す不穏さと、部下すら切り捨てる非情さが重なり、当時の子どもたちの記憶に「嫌な敵」として強烈に印象づけたのだった。

 

 劇場版『ドラゴンボールZ』には、伝説の超サイヤ人・ブロリー以外にも多くの子どもたちを恐怖させた敵キャラクターたちが存在する。

 クウラの終わらない絶望、合体人造人間13号の生々しい暴力、ボージャックの底知れない冷酷さなど、それぞれ形の異なる恐怖として作品を彩った。

 大人になった今だからこそ、当時は気づかなかった「恐怖」の正体が見えてくるかもしれない。皆さんの記憶に今なお焼きついている、劇場版『ドラゴンボールZ』最恐の敵キャラクターは、いったい誰だろうか。

 

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