『ドラゴンボールZ』の劇場版オリジナルキャラクターとして、圧倒的な知名度を誇る伝説の超サイヤ人・ブロリー。規格外のパワーで主人公・孫悟空たちを蹂躙し、執拗に追い詰めていった姿は、当時の子どもたちに絶大なインパクトを与えた。
しかし、劇場版の長い歴史の中で、観客を恐怖のどん底に突き落とした敵キャラクターは、決してブロリーだけではない。今回は、当時のスクリーン前の少年少女を震え上がらせた、劇場版の「怖すぎる敵キャラクター」を振り返る。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■倒しても終わらない圧倒的絶望感をもたらした「クウラ」
まず挙げたいのが、1991年に公開された『ドラゴンボールZ とびっきりの最強対最強』に登場したクウラである。
当時のテレビアニメは、宇宙最強の帝王・フリーザとの激闘の興奮が冷めやらぬ時期だった。クリリンの爆殺をはじめとする数々の残虐行為で視聴者に恐怖を植えつけたフリーザをようやく打ち倒し、「平和が戻った」と思われた矢先に現れたのが、フリーザの兄・クウラだったのである。
それだけでも十分絶望的だが、クウラの恐ろしさはそれだけにとどまらない。フリーザの最終形態に似た通常状態から、さらにもう一段階の変身を残していたのである。
マスクのような顔面と巨大化した肉体を持つ最終形態のクウラは、そのビジュアルだけでも異様な威圧感を放っていた。界王拳を発動した悟空の猛攻すら意に介さず、かめはめ波を突き破って突進する姿は、まさに“フリーザ以上”の絶望感をもたらした。
そして、その恐怖は翌年公開の『ドラゴンボールZ 激突!!100億パワーの戦士たち』へと引き継がれる。
倒したはずのクウラは、全身メタリックの機械生命体「メタルクウラ」として復活。超サイヤ人となった悟空とベジータを相手に、恐ろしいほどの戦闘能力を見せつける。2人がかりでようやく1体を撃破したと思った次の瞬間、崖の上には新たなメタルクウラの姿が……。しかも、それで終わりではない。眼前に広がるのは、次々と現れる無数のメタルクウラ軍団だった。
当時、小学生だった筆者も映画館でこの場面を目にしたが、「こりゃ無理だ」と本気で絶望したことを覚えている。あの悪夢のような光景は、今なお語り継がれる劇場版『ドラゴンボールZ』屈指の絶望シーンである。
■生々しすぎた戦闘描写…「人造人間13号」
続いて紹介するのは、1992年公開の『ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超サイヤ人』に登場した人造人間13号だ。
本作の舞台は極寒の南極。ドクター・ゲロの復讐心から生み出された人造人間13号、14号、15号の目的は、ただ一つ「孫悟空の抹殺」だった。その中でも13号は、人造人間たちのリーダー格ともいえる存在。一見すると人造人間には見えない、黄色いキャップを被った白髪の男で、饒舌に相手を挑発する姿が印象的だった。
しかし、その不気味な男の印象は、14号と15号を吸収して「合体13号」へと変貌してから一変する。オレンジ色に逆立った髪、白目をむいた青い巨体となり、もはや言葉を発することすらなく、ただ敵を破壊するためだけに動く機械へと成り果てたのである。
超サイヤ人となった悟空、ベジータ、トランクスですら、その圧倒的な力の前に成すすべがなかった。特に印象的なのが、生々しい攻撃描写である。
追い詰められた悟空が元気玉の準備を始める中、時間稼ぎのために立ち向かったベジータは軽々と持ち上げられ、13号の膝に背中から痛烈に叩きつけられる。“メシメシ”という効果音とともに弓のように折れ曲がったベジータの姿は、見ているこちらまで背中が痛くなるほど凄惨だった。
トランクスは大剣を手に斬りかかるが、愛剣は粉々に破壊され、至近距離から顔面へエネルギー弾を叩き込まれてしまう。ピッコロも背後から13号を持ち上げるが、逆に顔面を踏みつけられて撃退された。
最終的には、元気玉のエネルギーを体内に取り込んだ超サイヤ人の悟空によって撃破されるという、劇場版らしい大胆な決着を迎える。しかし、合体13号が観客に見せつけたのは、“肉体が壊される痛み”を伴う、劇場版屈指の暴力的な戦闘だった。


