■30代のサラリーマン3人が織りなす青春グラフィティー『ロケット・ボーイ』

 最後は、2001年1月放送『ロケット・ボーイ』(フジテレビ系)を振り返る。

 これまでのエッジがきいた作品とは違い、30代男性3人の友情と成長をハートフルに描いた本作は、主演の織田裕二さんが撮影期間中に椎間板ヘルニアで入院するという不測の事態に見舞われ、大幅なストーリー変更を余儀なくされた。全11話の予定が7話に再構成されたが、違和感を抱かせない魅力に溢れている。

 織田裕二さん演じる小林晋平は、幼少期から“宇宙飛行士になる”という夢を持ちながらも現在は旅行代理店で働く30歳。晋平はある時、野球場でのトラブルをきっかけに市川染五郎(現・松本幸四郎)さん演じる田中武徳と、ユースケ・サンタマリアさん演じる鈴木善行と知り合う。

 自分の人生にどこかしらのくすぶりを感じていた3人は意気投合。仕事、家族、恋愛の悩みに寄り添い合い、少しずつ成長を遂げていく。その中で晋平は、封印していた宇宙飛行士という夢に再び情熱を燃やし始める。

 3人にはカッコよさや大人っぽさはあまりなく、皆どこか情けなくて脆い部分がある。だからこそ視聴者は、彼らが大人になる過程で何かを諦めてきた痛みや寂しさをリアルに感じ取り、気づけば心からエールを送ってしまうのだろう。

 『木更津キャッツアイ』や『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)などでもそうだが、宮藤さんが描く、男同士の絶妙な距離感は素晴らしいの一言。現実でもありそうな会話や男同士の格好つかない素顔を赤裸々に描くことで、物語はより一層深みを増していくのだ。

 

 笑いをさらったかと思えば、ふとした瞬間にほっこりする温かさや切なさがやってくる。そんな唯一無二のバランスこそが、宮藤さんが描く世界が人気を集める理由だろう。今回紹介した3作品も同様に、今観返しても色褪せない輝きを放っている。再放送もほぼない作品ではあるが、チャンスがあればぜひチェックしてみてほしい。

 

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