90年代の少女漫画史に名を残す名作『イタズラなKiss』は、1990年から『別冊マーガレット』で連載されていた大人気ラブコメディ。一直線で不器用な相原琴子と、天才肌でクールな入江直樹による甘酸っぱい恋愛模様は、当時多くのティーンエイジャーの心をつかんだ。
1996年、2013年の国内での実写ドラマ化のほか、2000年代には台湾・韓国・タイでもドラマ化されるなど、その人気は国内だけにとどまらない。
一方で、原作漫画は1999年、作者の多田かおるさんの急逝によって未完のまま幕を閉じることとなった。しかしその後、夫である西川茂さんの協力のもと、多田さんが遺した構想メモを基に物語が構成され、アニメ版では “幻の最終回”が制作されている。
今回は原作漫画で描かれた物語のラストとともに、アニメ版で描かれた結末を振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■クライマックス目前の原作はどうなっていた?
本作の主人公・相原琴子は、不器用で勉強も得意とは言えない落ちこぼれタイプだが、天真爛漫で根性だけは人一倍という、愛らしい性格の女の子だ。
斗南高校に入学した琴子は、入学式で入江直樹という名のイケメンに一目惚れする。お近づきになれたら……と期待を抱くも、IQ200の天才でクールな性格の直樹との接点が生まれるはずもなく、気づけば3年生。焦った琴子は意を決してラブレターを渡すが、あっさりと振られてしまった。
さらに、傷心の琴子に追い打ちをかけるように、今度は建てたばかりの家が震度2の地震で倒壊してしまう。ギャグ漫画のような理不尽さだが、この出来事により事態は思わぬ方向へと転がっていく。
父が建て替えの間だけ旧友の家に居候することを決め、その家の息子が直樹だったのである。かくして琴子は、自分を振った相手・直樹とひとつ屋根の下で暮らすことになるのだった。
ここから彼女の努力型恋愛が幕を開ける。そのひたむきな頑張りは、数ある少女漫画作品の中でもトップクラスといっても過言ではない。直樹がいくら冷たくても決してめげず、健気すぎるほどひたすら好き好きアピールを続けていくのだ。読者はそんな琴子に夢中になり、いつの間にか心の底から応援したのである。
また、直樹も少しずつ心を許し、やがて彼女をかけがえのない存在だと思うようになっていく。そして物語中盤、琴子の6年越しの恋が実り、ついに2人の心は1つになった。雨の中、直樹が「オレ以外の男 好きなんていうな」と告白する場面は、作中屈指の胸キュンシーンだ。
やがて2人は結婚。直樹は医者、琴子は看護師を志し、紆余曲折ありながらも斗南病院でともに働きだすことになる。だがある時、琴子は仕事中に突然気を失って倒れてしまう。目を覚ました彼女に直樹が告げたのは、「妊娠してないか」という思いもよらぬひと言。まさかの妊娠疑惑に読者の誰もが驚く中、物語はここで終わりを迎えている。
多田さんの急逝により未完となった本作は、多くの読者に大きな衝撃と喪失感を残したが、それでもなおこの先を見届けたいという声は絶えなかった。その願いはやがてアニメというかたちで実を結び、原作では描かれなかった2人の未来が描かれることとなる。


