テレビアニメ『機動戦士ガンダム』(1979年放送)から始まった『ガンダム』シリーズ。「宇宙世紀」という時代が舞台となった作品群は、宇宙世紀シリーズとも呼ばれ、多くのファンから支持されている。
そんな作品において、モビルスーツ同士の激しい戦闘シーンは見どころのひとつであり、シリーズの作中には大規模な艦隊戦や少数対多数のMS戦など、いろんなシチュエーションが存在する。
数ある戦闘の中には、数的有利だったはずの陣営が思いもよらない大敗を喫してしまうケースもあった。
そこで今回は宇宙世紀シリーズの作品の中で、数的優位をくつがえされて想定外の敗北を喫した戦闘をピックアップ。なぜ少数の相手に敗れることになったのか、その理由についても掘り下げてみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■宇宙世紀、史上最大規模の艦隊戦のはずが…!?
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』には描かれていないが、作品の舞台となった一年戦争の最序盤に行われた戦いとして「ルウム戦役」がある。
今度こそジャブローの破壊を狙うジオン公国軍が2度目のコロニー落としを目論んで、サイド5(ルウム)へと侵攻。それを阻止しようとする地球連邦軍の艦隊と激突した戦いである。
『機動戦士ガンダム公式百科事典』(講談社)の記述によると、ジオン公国軍はグワジン級4隻、チベ級とムサイ級が78隻、ジッコを中心とするミサイルフリゲート艦34隻、パプア級補給艦22隻を投入。一方、地球連邦軍はジオン軍の約3倍の大戦力を投入して迎え撃ったという。
この戦いの顛末は、OVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』などで描かれた通り、連邦軍が戦力の約8割を失うという大惨敗に終わる。その上、脱出を図ろうとしたレビル中将が、ジオンのエースパイロット「黒い三連星」によって捕虜にされるという屈辱まで味わったのである。
ジオン側に大勝利をもたらしたのは、いわずと知れたモビルスーツという新兵器の存在だった。戦場にミノフスキー粒子を散布し、連邦艦艇が備えた電子機器を無力化。有視界戦闘を得意とするモビルスーツは猛威を振るう。この戦闘には、旧式のザクIが320機と、主力のザクIIが2600機も投入されていた。
この新兵器がもたらした大勝利は、その後の戦いの大きなターニングポイントとなる。誰よりも、この大敗の要因を肌で感じたレビル将軍は、連邦に戻ってからV作戦を発動させたのである。
■あまりにも有名な「3分」で喫した大惨敗
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の第33話「コンスコン強襲」では、中立のサイド6コロニーに寄港していた連邦のホワイトベースを叩くため、ジオン公国軍のドズル・ザビ中将の部下であるコンスコンを司令とする艦隊が待ち伏せする。
この時、ホワイトベースから出撃できる戦力は、アムロのガンダム、カイのガンキャノン、スレッガーとセイラのGファイターの4機のみ。一方、コンスコン艦隊はチベ級重巡洋艦1隻、ムサイ級軽巡洋艦2隻、そして12機のリック・ドムを出撃させた。
コンスコンは、単純に機体数の上でも3倍の戦力を投入し、しっかり相手の情報を収集したうえで先手をとることにも成功している。
万全の状態で戦闘を開始したはずだったが、結果としては出撃させた12機のリック・ドムは全滅。「全滅? 12機のリック・ドムが全滅……? 3分もたたずにか?」とコンスコンがつぶやき、椅子からずり落ちそうになるシーンはあまりにも有名だろう。
実際、ホワイトベースに戦いに臨むまでの準備や、投入した戦力を見るかぎり、コンスコンに油断は感じられなかった。むしろホワイトベース隊の強さを警戒して、大きな戦力を投入したのは本来であれば正解だったはずだ。
それにもかかわらず、大した打撃も与えられずに全滅を喫したのは「相手が悪すぎた」としかいいようがない。カイ、セイラ、スレッガーがそれぞれ1機ずつドムを撃破し、アムロに至っては、まるで数え歌のようにカウントしながら9機ものリック・ドムを短時間で撃墜している。
単純計算するとアムロは約20秒に1機のドムを墜としたことになり、コンスコンが思わず「バケモノか……」と漏らしたのも頷ける驚異的な強さだったのである。


