ブロガーのかんそうさんが毎週1回『ふたまん+』にてお送りする、ドラマへの熱い“感想”。今回もテーマは『田鎖ブラザーズ』(TBS系)。岡田将生さんと染谷将太さん演じる兄弟の秘めたる“闇”、そして本作プロデューサー・新井順子さんの“恐ろしさ”を語ります。
『田鎖ブラザーズ』岡田将生と染谷将太の「完全優勝ビジュアル兄弟」は、第3話以降も一切ブレない。むしろ加速している。2人が画面に映ってるだけで「とんでもねぇドラマ見てる」感がすごい。
真(岡田将生)が「めんどくせぇ」を連発しながらも、弟の背中を無言で追いかける瞬間。稔(染谷将太)が淡々と遺体を解剖しながら、兄の荒い息遣いにだけかすかに眉を寄せる瞬間。
あの空気感は、もはや中毒性がある。兄弟なのに全くと言っていいほど似ていないのに、なぜか「俺たちが!!! 田鎖ブラザーズだ!!!」と納得させてしまう化学反応が、毎話確実にレベルアップしている。
第3話で最大の衝撃だったのは、両親殺害のキーパーソン・津田(飯尾和樹)が、末期がんで昏睡状態で発見されたことだ。
ようやく見つけた田鎖兄弟の敵が、ベッドの上で酸素マスクをつけてただ呼吸しているだけ。手も足も出せない。復讐の炎を燃やそうとした瞬間に、水をぶっかけられたような絶望。岡田将生の表情が本当に凄かった。いつもの「めんどくせぇ」顔が、徐々に崩れて、底の見えない黒い熱がにじみ出てくる。あの目を見た瞬間、俺は背筋が凍った。「こいつ、本気で殺す気だ」と視聴者に思わせる演技は、岡田将生にしかできない。
染谷将太もまた、静かな狂気を増幅させていた。検視室で淡々と話す稔の声が、いつもよりわずかに低く、震えている。感情を表に出さない男が、唯一「許せない」と感じているものが、31年前の事件であることが痛いほど伝わってくる。二人が病室のガラス越しに津田を睨むシーンは、このドラマのハイライトの一つ。言葉はほとんどない。ただ並んで立っているだけで、兄弟の闇が画面から溢れ出す。
そこへ飛び込んできたのが、水澤愛子(武上陽奈)放火殺人事件。
一人暮らしの20代女性がアパートごと燃やされ、遺体は炭化していた。事件直前に「東郷」という男に付きまとわれていたという証言。稔が現場で発見した「ある物証」が、単なる放火殺人ではないことを匂わせる。ここから物語は一気に加速する。本作のプロデューサー・新井順子の恐ろしさは、兄弟の因縁とまったく関係なさそうな事件でも、着実に「田鎖家の影」に引き寄せていく手腕にある。
第4話で津田が死亡し、遺品から鍵と電話番号のメモが出てきた瞬間、「ついに繋がるのか」と震え上がった。真と稔がその鍵を握りしめ、互いに目を見交わすシーンは鳥肌ものだった。岡田将生の指先がわずかに震えるのと、染谷将太の瞳に宿る冷たい決意が完璧に同期している。あの兄弟の「暗黙の了解」が、また一段と深くなった。
■本当に容赦がない「新井順子」
特に素晴らしいのは、兄弟の温度差が事件を解く鍵になっている点だ。
真は感情のままに突っ走り、稔は冷静に証拠を積み上げる。二人がぶつかり合いながらも、最終的に同じ方向を向いている姿がたまらない。真が「めんどくせぇ」と言いながらも弟の指示に従う瞬間、稔が「俺は真実にしか興味がない」と吐き捨てながら兄の無茶に付き合う瞬間。血の繋がりだけが持つ、この不思議な信頼関係が、このドラマの最大の魅力だ。
正直、第3・4話を通じて一番印象的だったのは「復讐の無力感」と「復讐の連鎖」である。
津田が死んで終わるかと思えば、遺品が新たな謎を呼び、さらに深い闇を連れてくる。理不尽に家族を奪われた者たちが、どう生き、どう壊れていくのか。
そして相変わらず「真の直属の上司・岸谷五朗」、「兄弟を昔からよく知る町中華のオッサン・山中崇」、「兄弟の父が生前働いていた工場の工場長・長江英和」の“サスペンスオールスターズ”が怪しすぎる。全員が絶妙に犯人ムーブをかましつつ、確証には至らせない。もはや「全員犯人なのでは?」とすら思ってしまう。
この3人が田鎖ブラザーズと絡むたびに、視聴者の疑心暗鬼が加速する。新井順子は本当に容赦がない。兄弟の因縁に絡みそうな人間をこれだけ巧みに配置し、誰もが怪しく見えるように計算し尽くしている。
だが、俺がこのドラマに求め続けているのは、あの兄弟が少しだけ普通の時間を過ごす瞬間だ。
兄弟がふと昔話をするシーン。あの2人が少しでも笑い合うだけで、俺の腸内環境が改善されることは、前回も書いた通り。
新井順子は本当に容赦がない。兄弟の傷を抉り、事件を重ね、視聴者の期待を裏切りながらも超えていく。岡田将生と染谷将太は、そんな苛烈な物語に真正面から挑み、役を生きている。
第5話以降、田鎖ブラザーズはどこへ向かうのか。
鍵の先にあるのは、両親殺害の真実か。それともさらに深い地獄か。俺はもう完全に田鎖ブラザーズの虜です。マジで幸せになってほしい。
もう次話から真と稔と晴子(井川遥)と宮藤(中条あやみ)の四角関係ラブコメドラマに路線変更してもいいですよ……?
■著者プロフィール
かんそう
ブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。
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