昨今、数多くの漫画やアニメが実写映画化されている。原作ファンにとって、三次元で表現されるキャラクターの再現度が気になるのは当然のことだろう。
観客に違和感を与えずに物語の世界観に引き込むため、俳優たちはときに過酷なトレーニングで体形を変化させるなど、徹底した役作りを行う。特に、大幅な増量や減量といった肉体改造は、単に外見を似せるだけではなく、キャラクターの内面や生き様までをも体現する重要な手段となるのだ。
俳優たちの凄まじい努力によって作り上げられた肉体は、キャラクター造形に圧倒的な説得力をもたらし、作品全体のクオリティをより高みへと押し上げる。
今回は、実写化作品において驚異的な肉体改造を成し遂げた俳優たちを、5回にわたってピックアップし、そのプロフェッショナルな姿勢に迫っていきたい。
(第2回/全5回)
※本記事には作品の内容を含みます
■たくましい肉体と不敵な笑みで“伝説の大将軍”を体現『キングダム』大沢たかお
2019年より実写映画の第1作目が公開され、その再現度の高さから原作ファンを唸らせた『キングダム』。原泰久さんが手掛ける同名漫画を原作とした映画シリーズで、春秋戦国時代の中国を舞台に、後に始皇帝となる秦王・嬴政と、天下の大将軍を目指す少年・信の物語が描かれる。
数々の人気俳優たちが原作キャラを演じる中、特にその凄まじい役作りで注目を集めたのが、作中で将軍・王騎を演じた大沢たかおさんだ。
原作において王騎は、「秦の怪鳥」と恐れられる伝説の大将軍であり、主人公・信にとっても憧れの存在だ。3つに分けられた顎髭や「ココココ」といった奇抜な笑い方など、非常に癖の強い人物として描かれている。何より、その筋骨隆々としたたくましい肉体は、実写化にあたって最も再現が困難な要素の1つとされていた。
大沢さんは原作の王騎に近付くため、トレーニングによって徹底的な肉体作りを敢行。その結果、第1作目では18kg、第2作目ではなんと約23kgもの増量に成功し、原作さながらの巨漢を手に入れた。
この急激な変化は制作陣としても予想外だったようで、衣装合わせのたびにサイズが合わなくなり、計4回も作り直しすることになったという逸話も残っている。
当初、制作側は特殊メイクなどでの補正も検討していたようだが、大沢さんはそれを実際に作り上げてしまった。鍛え抜かれた肉体に鎧を身に纏い、巨大な矛を振るう姿には説得力が宿る。たくましい体から繰り出される怒涛のアクションは必見だ。
もちろん、王騎ならではのどこかねっとりとした独特の言い回しや態度についても、大沢さんは持ち前の演技力で完全再現。喋り方や笑い方、さりげない表情や仕草まで、徹底的に原作の王騎を憑依させ、観客を魅了した。
驚異的な戦闘能力だけでなく、その場の空気すらも変えるような凄まじい存在感は、まさに伝説の大将軍そのもの。戦国の世に生きる武将の体つきを、そのまま現代に再現してみせたのは、高いプロ意識ゆえの役作りといえるだろう。
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