■王道の初恋ルートをへし折った!? 『ひるなかの流星』
やまもり三香さんによる『ひるなかの流星』は、『マーガレット』(集英社)にて2011年から2014年にかけて連載された大人気青春ラブストーリーだ。2017年には永野芽郁さん主演で実写映画化もされ、「初恋のバイブル」としてティーンを中心に絶大な支持を得た。
物語は、親の転勤で田舎から上京してきたピュアな女子高生・与謝野すずめが、東京で初めての恋を経験するところから始まる。彼女が恋に落ちたのは、担任教師・獅子尾五月。彼は少し軽薄に見えるが、大人の余裕があり、困っていたすずめを助けてくれる存在であった。
しかし、教師という立場から本心を隠して身を引く獅子尾。その一方、女性が苦手でぶっきらぼうな同級生・馬村大輝は、すずめに一途な想いを寄せ続ける。
ストーリー展開からすると、獅子尾はすずめが東京に出てきて初めて会話をした人物であり、“運命の人”のように見えた。しかし、すずめは最終的に今の自分を一番大切にしてくれる相手である同級生の馬村を選ぶという、驚きの展開が描かれるのである。
連載当時は読者の意見も分かれ、すずめがどちらを選ぶのか目が離せなかった。大人の魅力を持つ獅子尾だが、教師という立場もあり、すずめに対して煮え切らない態度を取ってしまう。その優柔不断さが、彼の欠点だったのかもしれない。
本作は単なる甘いラブストーリーではなく、恋を知らなかった少女が悩み、傷つきながらも、自らの手で幸せをつかみ取る成長物語でもある。読者の予想を裏切りながらも、深い感動を与えてくれた傑作といえるだろう。
「最初に出会った運命の人と結ばれる」という少女漫画の王道ルートをへし折り、読者に大きな衝撃と感動をもたらした名作たち。
彼女たちが選んだ結末は、決して妥協や“当て馬”への乗り換えなどではない。恋の痛みや葛藤を経て、「自分を本当に大切にしてくれる人は誰か」「自分が自分らしくいられる場所はどこか」を見極めて、自らの意思で選び取った結果なのだ。
これらの作品をあらためて読み返すと、彼女たちの強く、潔い決断に深く共感できるはずだ。
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