■初心者救済のために増えた武器や魔法の数々

 最後に『ファイナルファンタジーVI』(1994年、スクウェア)でのバランスブレイカー的な要素を紹介しよう。本作はこれまでの『FF』シリーズと比べて、終盤で手に入る攻撃手段の強力ぶりが際立っている。

 たとえば古代魔法「アルテマ」。通常、攻撃魔法は魔法防御力の高い敵にはあまり通用しないのだが、アルテマは敵の魔法防御力を無視し、かつ無属性ダメージなので、ほとんどの敵にダメージを与えられる。しかも威力自体も最強クラスで、かなり早い段階からカンストの9999ダメージを叩き出せる。初出の『FF2』では不遇の魔法だったアルテマの汚名を吹き飛ばすほどの、まさに究極の魔法といえよう。

 とはいえ、アルテマの魔法を手に入れるのは簡単ではない。基本的には「魔石ラグナロック」か「英雄の盾」を装備して戦闘を重ねないと覚えられないので、入手できなかったプレイヤーも多いかもしれない。

 そして物理攻撃用の武器では「バリアントナイフ」が挙げられる。

 この武器は防御力を無視してダメージを与えることができ、自分のHPが減っているほど相手に与えるダメージが大きい。しかし、なぜかHPが満タンの状態でも、下手な武器より破壊力がある仕様となっている。

 しかも、相当強力な武器にもかかわらず、それほど苦労せずに2本も入手できてしまうのだ(スーファミ版のみ)。

 二刀流で「乱れうち」をすれば最大8回攻撃が可能で、ボスキャラが相手でもあっという間に倒せるほどの圧倒的な威力を誇る。9999ダメージが1発かぎりのアルテマのような魔法と比べても、総ダメージの差は歴然である。

 これらのバランスブレイカーな武器や魔法の存在は、初心者救済のために存在しているようにも思える。実際、筆者の友人の中にも、こうした強力な武器のおかげで初めてクリアできたと話していた人もいた。苦戦しがちだったプレイヤーを『FF』の世界にのめりこませる、いいきっかけとなったのかもしれない。

 ただ、そのせいか本作のラスボスであるケフカが弱かったと語るプレイヤーも多く、残念なボス扱いされているのはいささか気の毒ではある。

 

 もちろん、今回紹介した作品以外にも、ゲームバランスを崩壊させるほどの強力すぎる武器や魔法が存在するものはある。

 ゲーム初心者がクリアするためや、ストーリーを楽しむためであれば、こういったバランスブレイカーな武器や魔法を使ってどんどん進めるのもありだろう。しかし、手応えのあるRPGを楽しみたいのであれば、あえて強力な武器を封印する「縛りプレイ」で遊んでみるのも面白いかもしれない。

 

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