『名探偵コナン』赤井秀一に『ゴルゴ13』デューク・東郷、『ゴールデンカムイ』尾形百之助も…漫画作品に登場する「信じられないスナイパーの逸話」の画像
ビッグコミック『ゴルゴ13』シリーズ(小学館)

 漫画やアニメの世界において、狙撃手(スナイパー)はいつの時代も最高にかっこいい。一瞬の静寂、張り詰めた空気、そして放たれる必殺の一撃。遠距離からターゲットを完璧に仕留めるその姿には、幾度となく胸を熱くさせられてきた。

 今回は、数多の作品の中でも特に読者の度肝を抜いた「スナイパーの伝説的逸話」を3つ厳選して紹介したい。驚愕の超長距離射撃から、大自然の力をも計算に入れた前人未到の一弾、そして極寒の雪原で繰り広げられたしびれる心理戦まで——。常識を遥かに超えた名手たちの「一射」をたどっていきたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます。

 

■時速1000キロの衝撃! リニアを貫いた“銀の弾丸”『名探偵コナン』赤井秀一

 まずは、劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』から。FBIの凄腕スナイパーである赤井秀一が見せた狙撃は、まさに次元を超えたものだった。標的は、時速1000kmという驚異的な速度で走行する「真空超電導リニア」の車内にいる犯人である。

 この狙撃の特筆すべき点は、弾丸がリニアの路線である「真空のトンネル」内を通過するという特殊な環境を最大限に利用したことにある。赤井は線路上に立ち、名古屋から山梨へと向かうリニアに対し、あえて鉄製ではない「銀の弾丸」を放つ。リニア軌道の側壁に埋め込まれた強力な電磁石に弾丸が引き寄せられるのを防ぐため、あえて非磁性体の銀を用いたのである。

 真空状態のトンネル内では空気抵抗がほぼ発生しないため、弾丸は速度を維持したままリニアを追走する。そしてリニアが急減速したタイミングで追いついた弾丸は、超軽量素材でできたリニアの車体を貫通。車内で江戸川コナンが犯人を誘導したピンポイントの場所へ正確に着弾し、犯人を殺害することなく肩を撃ち抜いて無力化してみせた。

 超高速で移動する物体の中の、さらに一点を射抜くという離れ業。物理法則を味方につけた赤井のこの一射は、数あるアニメ作品の狙撃シーンの中でも、最大級の衝撃をもたらした「神業ショット」といえるだろう。

■射程5km! 上昇気流を操る前人未到の弾道『ゴルゴ13』デューク・東郷

 『ゴルゴ13』のエピソード「害虫戦争」の一射は、あまたの伝説を持つ主人公、デューク・東郷のキャリアの中でも“規格外の射程”として知られている。

 このエピソードでゴルゴが狙う標的は、人間ではなく「害虫(バッタ)」だ。害虫をばらまいて市場独占を狙う企業の野望を阻止するため、周囲数kmにわたって厳重に管理された広大な敷地の中心部に位置するバッタ飼育用の貯水槽を狙うことになったのだ。

 潜入が不可能な状況で東郷が選択したのは、バッタを殺す菌を仕込んだ特注の「でん粉弾」を用いた、驚異の「5000m狙撃」であった。一般的に熟練した狙撃手の有効射程は600〜1000m程度といわれているが、それを踏まえると、この5kmという距離がいかに異次元かが分かるだろう。

 通常、弾丸は重力に抗しきれず落下してしまう距離だが、彼は地形特有の「上昇気流」に弾道を乗せることで、その限界を突破しようとする。

 この前人未到の難局に際しても、ゴルゴはいつものように顔色一つ変えずに引き金を引く。風を読み、大自然の揺らぎさえ弾道計算に組み込んだ一射は、その「でん粉弾」を見事に5km先の貯水槽へと送り込んでみせた。

 人類を食糧危機に陥れようとした企業の邪悪な野望は、世界屈指のスナイパーによるこの「超ロングショット」によって、打ち砕かれたのである。

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