吾峠呼世晴氏による漫画『鬼滅の刃』は、鬼の始祖・鬼舞辻無惨と、彼が率いる鬼たちを滅するために命をかけて戦う「鬼殺隊」との死闘を描いた物語である。
無惨は自身の血を人間に分け与えることで鬼を増やし、配下として従えていた。その目的は、自らの唯一の弱点である「太陽」を克服することにあった。こうして作り出した数多の鬼の中でも特に強い鬼たちを12体厳選し、「十二鬼月」として組織していたのである。
この十二鬼月たちは、主人公・竈門炭治郎をはじめとする鬼殺隊の仲間たちにとって脅威であり、彼らとの戦いで命を落とす者も大勢いた。
そこで今回は、本作において無惨に続く強敵として立ちはだかる「十二鬼月」について、深掘りしていこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■十二鬼月の特徴は? 一目で分かる階級
「十二鬼月」は、上位集団である「上弦」の鬼6体と、下位集団の「下弦」の6体、計12体で構成されている。彼らの最大の特徴は、その階級が目に刻まれている点だ。下弦の鬼は片目に「下」の文字とともに「漢数字」での階級が、上弦の鬼は両目にそれぞれ「上弦」と「漢数字」が刻印されている。
ただし例外も存在する。例えば、上弦の伍・玉壺は目が口のようになっているため、額の目に「上弦」、口の中に「伍」と刻まれているほか、上弦の肆・半天狗はふだんは目の刻印が見えないが、感情が高ぶると現れる仕様になっていた。
そして十二鬼月の鬼は、身体的特徴が人間時から大きく変化することが多い。上弦の参・猗窩座は人間時代の刺青の紋様が体中に広がり、上弦の陸・堕姫には植物の蔓のような紋様が、同じく上弦の陸である妓夫太郎には、毒を彷彿とさせる紋様が浮かび上がるなど、一目で鬼と分かる異質な見た目になっているのも印象的だ。
彼らが鬼となった経緯もさまざまで興味深い。上弦の鬼の中でも無惨のお気に入りだった猗窩座は、大切な人たちを失って自暴自棄になっていたところを無惨に見出された。無惨は彼の頭部を貫き、「十二体程強い鬼を造ろうと思っているんだ」「お前は与えられるこの血の量に耐えられるかな?」と問いかけ、鬼へと変えている。
猗窩座の例から、無惨は手当たり次第に鬼を増やしていたのではなく、最初から十二鬼月候補として見込みのある人間を選び、より強力な鬼へと変えていたことがうかがえる。
もともと、同類を増やすことには消極的だった無惨。それでも鬼を増やし続けたのは、「太陽の克服」という悲願を達成するためだ。その手段として、克服の鍵となる「青い彼岸花」の捜索、そして「太陽を克服する鬼」そのものを生み出すことを目的としていた。それゆえに、優秀で忠実な人材を選別していたのだろう。
■十二鬼月は何年も変化なし? 「入れ替わりの血戦」とは
鬼殺隊にとって無惨に続く脅威である十二鬼月だが、下弦の鬼たちは比較的入れ替わりが頻繁であった。そして、下弦の伍・累が炭治郎と水柱・冨岡義勇に敗北したことをきっかけに、無惨は下弦の鬼たちを見限る。結果、下弦の壱・魘夢を除いた全員が粛正され、事実上解体されている。
一方、上弦の鬼は極めて強く、「遊郭編」で上弦の陸・妓夫太郎&堕姫が炭治郎と我妻善逸、嘴平伊之助、そして音柱・宇髄天元によって倒されるまで、実に113年間もの間、入れ替わりがなかったことが明かされている。
113年間、鬼殺隊は上弦の鬼を1体も倒せなかったという事実は、彼らの圧倒的な実力を物語っている。事実、「無限列車編」では炎柱・煉獄杏寿郎が猗窩座との激闘の末、命を落とした。鬼殺隊の長い歴史において上弦の鬼の討伐は悲願であり、妓夫太郎と堕姫を倒したことは非常に大きな一歩だったのだ。
また、上弦の鬼が階級を上げる方法も存在する。それが「入れ替わりの血戦」だ。これは、下位の鬼が上位の鬼に決闘を申し込み、勝つことができればその階級に入れ替わることができるという制度だ。負けた者は多くの場合、勝者に捕食されるという。
かつて猗窩座も、上弦の壱・黒死牟に血戦を挑み、敗北した過去がある。だが、黒死牟は猗窩座を気に入っていたため、血戦を申し込まれたことが嬉しくて捕食しなかったことが『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』で明かされている。ちなみに、黒死牟は猗窩座含め、数百年で3度、血戦を申し込まれたという。
また、上弦の弐・童磨も、この「入れ替わりの血戦」によって現在の地位を手に入れている。童磨より先に上弦だった猗窩座は彼を嫌っていたものの、実力差もあり、血戦を挑むことはなかった。
このように、上弦の鬼の間には絶対的な実力主義が存在する。この「入れ替わりの血戦」という過酷な仕組みこそが、彼らの強さを長きにわたって保ってきた要因の1つなのかもしれない。


