■作品全体に流れる“優しいファンタジー”の香り…第4位は『葬送のフリーレン 第2期 』
第4位に挙げたのは『葬送のフリーレン 第2期』。もはや説明はいらないと思いますが、魔王討伐の“その後の世界”を舞台に、エルフの魔法使い・フリーレンが「人を知るための旅」をする物語です。1期に関しても素敵な作品だなーという感想はあったのですが、2期「神技のレヴォルテ編」は、バトル描写が増えてあまりにも威力が高すぎたので、ベスト5に入る評価とさせていただきました。
この作品の魅力はやはり、まっすぐ正統なハイファンタジーを、丁寧に丁寧に描いてくれるところ。旅の空気感は1期と変わらず優しいままですが、それでいて戦闘に入った瞬間の温度差がすごい。「時間」と「空気」を同時に味わえる素敵な作品です。
魔法・剣技・駆け引きの見せ方もキレッキレで、特に今期は、魔族・神技のレヴォルテとの戦いがとにかく素晴らしかった。演出、レイアウト、原画、動画に至るまで全領域で圧倒的なパワーで俺たちを殴ってくる。加えて、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『わたしの幸せな結婚』の音楽も手掛けたEVAN CALLさんによる劇伴が、あらゆるシーンをめっちゃ盛り上げてくれます。
で、他のアニメと違うなーと感じるのは、『葬送のフリーレン』そのものに流れている静かな空気感が、エグいバトル描写の中でも感じられること。それは劇伴の性質もそうだし、レヴォルテ役の三木眞一郎さん、相対するゲナウ役の新垣樽助さんら、声優陣の演技もしかり。「うおー! アチィー!!」という戦闘の空気感とは一線を画した、動く宗教画みたいな感じです。これはフリーレンのアニメでしか味わえない感覚。ゲナウの視点で語られる過去回想も戦闘のフックにしていて、神技のレヴォルテ編の完成度は非常に高いものがあったと思います。あ、ちなみに私は激アツバトル系も好きですよ。
あとフリーレンの愛弟子・フェルンと、戦士・シュタルクのふたりの距離感がずっと健康に良い。ベタベタしすぎないのに、お互いを意識している空気、良い。フリーレンのおばあちゃん視点があることで、ふたりの関係性が余計に際立つんですよね。パーティーとしての完成度が上がるほど、見ているこっちの愛着もどんどん増していきますわそりゃ。
そして改めてですけど、背景美術と音楽がずっと神。雪原、街、湖、山道、どこを切り取っても「旅をしている時間」そのものが絵になってる。そこに劇伴が乗るだけで、一気にフリーレンたちの時間になる。『ゆるキャン△』で飲む酒は明るく楽しく、『葬送のフリーレン』で飲む酒は高尚に静かに、みたいな。俺は何を言っているんだ。


