■金持ちの道楽のために終わらない戦争をさせられる「永久戦闘実験室」

 最後は『銀河鉄道999』の中でも読者に強烈なインパクトを残した、「永久戦闘実験室」を紹介したい。このエピソードは、人間の底知れぬ悪意と残酷さを描き出している。

 「ライフルグレネード」という駅で降りた鉄郎とメーテル。指定ホテルに入った鉄郎たちが食事をとろうとすると、窓の外には大迫力の戦闘シーンが広がっていた。しかし、それは作られた映像ではなく本物の戦場であり、“戦争が観光客向けの見世物(娯楽)”にされているという驚くべき現実だった。

 この星の支配者は、観光客から稼いだ金で武器を買い、若者たちを「コンバットモルモット」と名付けて終わりのない殺し合いに駆り立てていた。その後、ホテルを襲撃してきた反乱軍の青年ゼーダと行動を共にした鉄郎は、平和な社会を築こうとする彼らの希望と、その凄惨な闘いを目の当たりにする。

 しかし物語は無情にも鉄郎を助けたゼーダが殺され、反乱軍が機械化人の部隊によって皆殺しにされるという絶望的な結末を迎えるのだ。

 権力者が金儲けのために仕掛けた「戦争」という娯楽。いつの時代の読者にも深く突き刺さる、闇の深いエピソードだ。

 

 子どもの頃に見た『銀河鉄道999』は、窮地に陥った鉄郎が危機一髪で逃げ出す冒険活劇としてハラハラとしながらも楽しめた。しかし大人になってから改めて読み返すと、その背後にある深い社会風刺に驚かされる。作者の松本さんが伝えたかったであろう、普遍的かつ社会性のあるメッセージに圧倒されるのだ。

 こうした本作に登場するブラックな星々のエピソードを読み返し、人間の愚かさや業の深さについて考えてみるのも良いかもしれない。

 

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銀河鉄道999(1) (ビッグコミックス)
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