■中学生になった優が登場する“実質的最終回”『ロンググッドバイ』
1985年6月15日に発売されたOVAが『ロング・グッドバイ』。これは『永遠のワンスモア』の、さらに「その後」を描いた作品で、テレビシリーズ全52話と『永遠のワンスモア』から続く、『クリィミーマミ』という物語の「実質的な最終回」ともいえる作品です。
舞台はテレビシリーズから2年後。小学生だった優は中学生へと成長し、マミのライバルだったトップスター・綾瀬めぐみは婚約者である立花社長と結婚するなど、周囲の環境も大きく変化しています。
マミの影にとらわれて自信を失いかけるめぐみや、そんな彼女を献身的に支えるマネージャー・木所さんの恋心といった、脇役たちの心理描写まで繊細に描かれていたのが特徴です。
また前作のキーマンである早川愛も再登場、そして、なぜか優にはマミに変身する魔法の力が一時的に戻ります。その魔法の力を優はどのように扱うのか……そんな彼女の選択にも注目が集まるのです。わずか55分という限られた尺の中で、シリーズの集大成ともいえる濃密なドラマが凝縮されていました。
さらにマミとめぐみが共演する劇中劇、SF映画『二つの世界の物語』も見逃せません。秀逸なメカデザインや躍動感あふれるアクションシーンには、当時のクリエイターたちのこだわりと優れた技術が詰まっており、昭和アニメ特有の熱量を余すことなく堪能できました。
ちなみに本OVAは同年8月3日に劇場公開もされ、その時の同時上映は、葦プロダクション制作の『魔法のプリンセスミンキーモモ 夢の中の輪舞(ロンド)』でした。
制作会社の垣根を超えた奇跡の併映というだけでなく、オープニングフィルムとして上映された3分ほどの短編『魔法の天使 クリィミーマミVS魔法のプリンセス ミンキーモモ 劇場の大決戦』もファンに大きな衝撃を与えます。
80年代を代表する2大魔法少女が同じ世界に相まみえるという、文字通り「夢の対決」に双方のファンが歓喜し、今なお伝説として語り継がれています。
■映像と楽曲でつづられるマミの「伝説」と「残像」
なお全4本のOVAのうち、1作目『永遠のワンスモア』と3作目『ロング・グッドバイ』がテレビシリーズからつながる続編アニメだったのに対し、2作目『ラブリーセレナーデ』(1985年)と第4作『カーテンコール』(1986年)は、音楽と映像が融合したミュージッククリップとして制作されました。
『クリィミーマミ』のテレビ版の最終回(第52話)「ファイナル・ステージ」は、テレビアニメで描写されたのは10分ほど。あの伝説のコンサートの興奮を、より一層濃密に味わえるのが、これら2つのビデオ作品です。
第2作『ラブリーセレナーデ』は、代表曲『デリケートに好きして』をはじめとするテレビ版の名曲7曲に、新曲『あなたに一番効く薬』を入れた計8曲をフルコーラスで収録。過去の名場面に加え、新規に描き下ろされた美麗なセル画や水彩画風のカットが、楽曲の世界観をより華やかに彩ります。
そして、シリーズ最後の映像作品となった第4作『カーテンコール』は45分のミュージッククリップ。その中には4曲もの新曲が含まれ、キャラクターたちの気になる「その後」の日常シーンなどを見ることができました。
特筆すべきはエンディング曲の『MA・WA・LE・MI・GI』。マミ(声・太田貴子さん)とライバル・綾瀬めぐみ(声・島津冴子さん)のデュエットという、ファン垂涎の夢の共演が実現。マミと優が、同じ画面内にて共演する幻想的なシーンなど、テレビアニメの第8話「渚のミラクルデュエット」が再現されます。
ちなみに、めぐみの新曲である挿入歌『渚のメモリー』は、島津さん自らが作詞と歌唱を手がけ、作曲はあの久石譲さんが担当。まさにシリーズの最後を飾るにふさわしい、サービス精神にあふれた作品といえるでしょう。
テレビシリーズの最終回で、魔法を返還して「普通の女の子」に戻った優。そこで物語は終わったと思っていた視聴者も多いはずです。テレビシリーズの続編は、時には蛇足と受け取られかねない試みではありますが、当時『マミ』のその後のストーリーが見たいと願うファンが、それだけ多かったのは間違いないでしょう。
もし『クリィミーマミ』のOVAの存在を知らなかったという人がいるなら、これを機に真の最終回ともいえる『ロング・グッドバイ』の結末を見てみるのはいかがでしょうか。
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