■マホメド・アライJr.:全身骨折からの復活

 格闘家にとって、肉体を芯で支える骨が砕ける「骨折」は、特にやっかいな怪我の1つだ。この骨折を誰もが予想しない方法で克服したのが、第2部『バキ』にて登場したマホメド・アライJr.である。

 彼は伝説的なボクサーであるマホメド・アライの実子で、彼から受け継いだボクシング技術をさらに進化させ「マホメド・アライ流拳法」を作り上げた猛者だ。

 物語の終盤、刃牙との対戦に備えて、アライJr.はこれまで作中に登場した数々の格闘家たちに戦いを挑む。だが、度重なる敗北により両手足の至る箇所を骨折してしまうのだ。

 全身を包帯とギプスで固められ、アライJr.は杖がなければ満足に歩くことすらままならない重症患者となってしまった。

 普通ならばここでリタイアするところだが、彼はこの満身創痍の状態で、ギプスをはめたままサンドバッグへの打ち込みを敢行。激痛に耐え、汗にまみれながら、数時間もサンドバッグを叩き続けたのである。

 痛みを顧みず、一心不乱にサンドバッグを打ち込むアライJr.の鬼気迫る姿は、まさに圧巻のひと言。そして刃牙が対戦を受けてくれたことを知ると、彼の打撃はさらに加速。その勢いのまま、全身の治療器具を破壊し、骨折していた体を治癒させてしまったのだ。

 休養せず、あえて苦痛を重ね続けることで肉体を強制的に適応させる。これは、アライJr.に宿った常人離れした闘争心が成し遂げた奇跡ということだろう。

 

 個性的な格闘家が多数登場する『刃牙』シリーズだが、作中に登場する治療方法もそれに劣らず、常識破りなものばかり。

 圧倒的な画力で描かれる治療法の数々はどれも凄まじい臨場感と迫力で、読者にまでその痛みまでがリアルに伝わってくる。

 どれもこれも、相手に勝ちたい、生き残りたいと強く念ずるファイターたちの闘志あってこその荒療治といえるだろう。

 

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