■戦わないことで組織を維持したリーダー「ジャッカル」

 ジャッカルは、物語序盤に登場する野盗集団のリーダーだ。彼はダイナマイトを武器とする卑劣な小悪党で、ケンシロウとの直接対決を避け、徹底的に逃げ回った。最後のケンシロウとの戦いでも、羅漢仁王拳を使う巨人・デビルリバースをだまし、ケンシロウと戦わせるという姑息な手段に出ている。

 しかし、ジャッカルには「自分より強い人間とは戦わない」という、極めて合理的なモットーがあった。荒くれ者だらけの世界では、勝てる相手を選ぶことこそが生き残るためのポイントだったのだろう。

 ジャッカルはそれを分かった上で無駄な戦闘を避け、組織を全滅の危機から守っていたのである。実際、不用意にケンシロウに絡んだ部下には「きさまらにおれの部下の資格はない!」と断じ、自らの手で処刑するほど徹底していた。

 ただし、強者に挑まない一方で、ジャッカルは自分が生き残るためには非道な手段も厭わなかった。自分の右腕であったフォックスを見殺しにするなど、仲間を裏切るのは日常茶飯事であったのだ。そのため、最後は部下からも命を狙われ、四面楚歌の状況に陥ってしまう。

 弱肉強食の時代において、人を裏切りながらも生き残る術を確立したジャッカル。もう少し仲間を大切にできていれば、そのリスク管理能力はより評価されただろう。

 

 『北斗の拳』に登場する悪党たちは、ケンシロウの圧倒的な強さを引き立てるための“やられ役"であることに間違いはない。しかし、その他大勢のザコとは異なり、彼らをまとめるリーダーには、多少なりとも人望やリスク管理能力といった、組織のトップとしての資質が備わっていたのだ。

 ただ暴力で略奪を繰り返すだけのモヒカンたちとは一線を画し、独自の哲学で組織を率いて世紀末を生き抜こうとした悪の功労者たち。彼らの活躍に注目すると、また違った面白さが見えてくるだろう。

 

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