ガンダム界の「マッド・サイエンティスト」が暴挙に及んだそれぞれの背景 ニュータイプに対する恐怖心に、没落した家の再興も…!?の画像
「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 5.1ch DVD-BOX(初回限定生産)」(バンダイビジュアル) (C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS

 シリーズの原点であるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の中には、さまざまなテクノロジーが描かれている。中でも革新的だったのが、やはり「ミノフスキー粒子」という物質の発見だろう。

 このミノフスキー粒子を応用してモビルスーツの核融合炉が開発され、メガ粒子砲やIフィールドといったさまざまな武装も生まれていった。この粒子を発見したのが、ジオンの物理学者「トレノフ・Y・ミノフスキー」である。

 『ガンダム』シリーズの作中では、ミノフスキー博士以外にもさまざまな科学者、研究者が登場。彼らは持ち前の頭脳でクライアントの要望に応えようとするが、中には天才ゆえに苦悩し、時に自身の思想にとらわれるあまり常軌を逸した行動に出てしまい、「マッド・サイエンティスト」の烙印を押された人物もいる。

 そこで今回は、ガンダム作品の中でも特に印象的だったマッド・サイエンティストたちをピックアップしつつ、彼らの凶行の背景について振り返ってみたい。

 

※本記事には各作品の核心的な内容を含みます。

■「対ニュータイプシステム」開発のためなら手段を選ばない男

 ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』(バンダイ)などに、クルスト・モーゼスという科学者が登場する。彼はジオン公国軍のニュータイプ研究機関「フラナガン機関」の出身だった。

 オールドタイプの人間にニュータイプの能力を持たせる研究を行っていたクルストは、ニュータイプの少女「マリオン・ウェルチ」を被験者として研究を進める。しかし次第に「自分のようなオールドタイプは、いつかニュータイプに滅ぼされる」という考えに取り憑かれてしまう。

 そこでクルストはニュータイプへの対抗手段として、システムの力でニュータイプを裁く「EXAMシステム」の開発に着手。これはニュータイプの放つ感応波、またはそれに近いものをシステムが感知すると、パイロットの命令を無視して機体が勝手にリミッターを解除。機体性能を限界まで引き出し、対象を殲滅する恐ろしいシステムである。

 『マスターアーカイブ モビルスーツ RX-79BD ブルーディスティニー』(SBクリエイティブ)によれば、クルストはそのとっかかりとして「殺気を感知するシステム」の開発を目指したが、一向に成功しなかったという。

 しかしマリオンの試験中に事故が発生し、彼女は心神喪失状態になってしまう。その事故が意図的だったのか、あるいは偶発的なものだったのかははっきりしないが、少なくとも、この事故でマリオンの脳波データがメモリに記録され、それを用いてEXAMシステムの完成の目処がたったのは事実である。

 恐怖のあまりにニュータイプ抹殺という考えにとらわれてしまったクルストは、自身が思うEXAMの完成のためなら犠牲を気にしない、まさにマッドな科学者だった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3