■結局1人じゃ無理だった…二階堂が選んだ「ハムテルとの共同開業」というオチ

 そして迎えた最終エピソード。今まで何かとハムテルに頼りがちだった二階堂は、主体性のない自分を省み、“ハムテルの足手まといにはなりたくない”と思い悩んでいた。そのことを漆原教授に相談したところ、後継者を探していた西町家畜診療所の跡継ぎとして、半ば強引に紹介されてしまう。

 実は西町家畜診療所はハムテルの家から近く、もし二階堂がそこで開業すればハムテルのライバル病院になり得る場所だった。断ろうとする二階堂だったが結局話に流され、実地研修に挑むこととなる。

 しかし、二階堂には“極度のネズミ嫌い”という獣医師として致命的な弱点があった。案の定、彼はネズミ類の治療に苦慮し、結局はハムテルの助けを借りることとなる。そして一方のハムテルもまた、二階堂なしでの開業には踏み切れないでいた。そのすべてを知った西町家畜診療所の年老いたドクターは2人を後継者として迎え入れ、共同開業を認めるのだった。

 だが、この話にはオチがあった。2人で開業できる!と一同が喜んだ矢先、ドクターは“ただしもう2〜3年私が働きたいだけ働いたら”と告げ、すぐの開業とはならなかったのである。おまけに、その頃には定年となる漆原教授が無理やり“顧問になってやる”と提案してきたり、他のお馴染みメンバーも“その病院のスタッフになる”と立候補したりと、勝手にやる気満々なのだ。

 物語の最後はみんなでクリスマスパーティーを楽しむなか、「ハムテルと二階堂の開業への道のりはまだまだ遠いようである——」というナレーションで締めくくられている。チョビをはじめとする動物たちとの賑やかで変わらない日常がこれからも続いていくことを予感させる、平和なエンディングであった。

 

 ハムテルと二階堂は最初から最後まで仲が良く、最終的には病院を共同開業する未来が示された。そう考えると、そこには友情以上の感情があるようにも見えるが、本作ではそうした恋愛を匂わせる描写は一切なく、あくまで動物との日常を通してひたすらシュールな笑いが描かれていた。

 『動物のお医者さん』は今から約40年も前に連載が始まったのに、今読んでも全く色褪せない魅力を持っている。チョビをはじめとするキュートな動物たちや、個性豊かなキャラクターたちに会いたくなったら、彼らの変わらない日常をもう一度覗いてみてはいかがだろうか。

 

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