■鬼に狙われるだけ?「稀血」の特殊能力とは
ここまで「稀血」は、鬼にとってご馳走であることを解説してきた。それだけ聞くと、ただ鬼に狙われやすいだけの不幸な体質にも思えるが、実はデメリットだけではないことが分かっている。
稀血の中でも不死川の血はさらに希少なものだという。彼の血には、その匂いを嗅いだ鬼を酩酊させる効果を備えているのだ。「猫に木天蓼(またたび) 鬼には稀血」と不死川が語るほど、その効果は絶大である。
彼がまだ鬼殺隊に入隊する前、個人で鬼狩りをしていた頃は、自分の血で酩酊した鬼を捕縛し、陽光で焼き殺すという手段を用いていた。この戦法は、自身の血の特別な効能に気づいた不死川ならではの荒技であるが、そもそも高い戦闘能力がなければあっという間に命を落としかねない危険なものだ。
彼はこの時期、鬼殺隊士であった粂野匡近(くめの・まさちか)と出会い、“育手”を紹介されることになる。もしこの出会いがなければ、彼はその後も自身の稀血を囮に鬼を狩っていたかもしれない。
何もせずとも鬼に狙われやすい稀血の人間だが、作中では鬼除けに「藤の花の香り袋」が有効であることが明かされている。「鼓の屋敷」での戦闘後、鎹鴉が稀血の少年・清に対し、“今後は持ち歩くように”と香り袋を渡す描写があるのだ。
不死川のように並外れた戦闘能力があれば太刀打ちできるが、力を持たない人間が稀血で生まれてしまえば、生き延びることは極めて困難だろう。彼らが貴重な存在であることにも納得である。
栄養価が高く、鬼にとっては願ってもないご馳走である「稀血」。より強くなることを望む鬼たちは、躍起になって彼らを探し求めていた。
稀血は、鬼が蔓延る世界において生存率を著しく下げる呪いのような体質ともいえる。だがそれを逆手に取り、武器として効果的に使ってきた不死川の強さと精神力には改めて圧倒されてしまう。
続く劇場版では、そんな不死川の活躍も存分に描かれる。彼の稀血が戦局にどう影響するのだろうか。期待に胸が高まるのは筆者だけではないだろう。
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