4月5日より始まった、テレビアニメ全編再放送や劇場版三部作「無限城編」の展開により、大きな盛り上がりを見せている『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴氏)。
4月9日に終映を迎えた『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』を含め、三部作での完結が予定されている劇場版では、鬼の始祖・鬼舞辻無惨と主人公・竈門炭治郎が属する鬼殺隊の最終決戦が描かれる。上弦の鬼たちとの死闘は、まさに手に汗握る展開の連続であり、涙なしでは見られないだろう。
本作は、人を喰らう鬼と人間との戦いを描いた物語だが、その鬼にとって特別な存在となる人間がいる。それが「稀血」と呼ばれる特異体質の持ち主だ。ここでは、謎多き「稀血」について、改めて解説していこう。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■稀有な体質…鬼が渇望する「稀血」とは?
作中で極めて貴重な存在として描かれる「稀血」。読んで字の如く、“稀な血”を持つ人間のことを指すが、鬼にとっては喉から手が出るほど渇望する対象であることが分かっている。
稀血の人間を1人喰うことは、通常の人間50人〜100人分にも相当する栄養が得られるという。実際に元十二鬼月・下弦の陸だった響凱は、「鼓の屋敷」で稀血の人間をたくさん喰らうことで十二鬼月に返り咲こうと目論んでいた。
鬼の強さは、基本的に喰った人間の数に比例する。例えば、上弦の参・猗窩座のように“女を喰わない”という選択をした者もいるが、実際に女を好んで喰っていた上弦の弐・童磨は彼よりも格上だった。童磨が、“女を沢山食べた方が早く強くなれる”と語っているように、喰らう人間の質によっても強さに差が出ることが示唆されている。
数を喰らえばそれだけ強くなれるとあれば、弱い鬼が稀血の人間を血眼で探すのも無理はない。事実、鼓の屋敷では響凱を含む3体の鬼が、1人の稀血の少年を巡って争奪戦を繰り広げていた。
鬼は匂いによって稀血の人間を判別できる。そして嗅覚の鋭い炭治郎もまた、稀血の匂いを感知可能で「鼓の屋敷」で初めて稀血の匂いを嗅いだ際には「今まで嗅いだことのない独特な血の匂い」と表現している。
匂いだけで稀血と分かってしまう彼らは、常に鬼に狙われる危険がある。生まれ持った体質とはいえ、その運命は過酷であると言わざるを得ない。
■貴重すぎる存在…作中に登場するのはたった2人だけ
貴重な存在とされている稀血の持ち主だが、作中で明確に登場したのはたった2人だけだ。
1人目は、前述した「鼓の屋敷」で響凱に狙われた少年・清。彼は3人兄弟の長男で、稀血であったために響凱にさらわれてしまった。
そして、もう1人が鬼殺隊最強の剣士「柱」の1人、風柱・不死川実弥だ。彼が稀血であることが完全に明かされるのは物語終盤の無限城での戦闘中のことだが、その片鱗は物語序盤ですでに描写されていた。それが、鬼にされてしまった炭治郎の妹・竈門禰󠄀豆子の処遇を巡る柱合裁判会議の場面だ。
不死川は鬼である禰󠄀豆子の理性を試すため、わざと自らの腕を傷つけ、その血を見せて自身を襲うように挑発した。鬼化して以来、人間を襲わなかった禰󠄀豆子であったが、不死川の血を前にした際には、明らかに様子が違っていた。
汗を流し、よだれを垂らしながらも、必死に本能に抗う禰󠄀豆子。鱗滝左近次から“人間は家族だ”という暗示をかけられている彼女でさえこれほど葛藤をするのだから、通常の鬼であれば抗えないご馳走であることがうかがえる。
しかし、最終的に理性を保ち、不死川から顔を背けた禰󠄀豆子の精神力は、今思うと相当なものだった。この場面は、彼女の強い意志を証明する象徴的なシーンだと言えるだろう。


