3月20日から『まんが日本昔ばなし』が、こども・アニメ専門チャンネル「キッズステーション」にて放送開始された。
『まんが日本昔ばなし』は1975年から1994年まで続いたアニメシリーズで、日本に伝わる昔話が市原悦子さんと常田富士男さんによる唯一無二の語りで紡がれる。
語られる昔話にはさまざまなジャンルがあり、心温まる話や教訓のある話だけでなく、時にはとんでもなく怖いエピソードもあった。子どもの頃にトラウマを植えつけられた経験を持つ人も少なくないだろう。
また、日本の昔話というだけあって、鬼や妖怪が出てくる話も多い本シリーズだが、中には大人がうなるような考えさせられる物語もある。今回はその中から、怪異よりも 「結局人間が怖い!」と思わされた恐ろしいエピソードを紹介したい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■恩を仇で返す人間の無情
1992年に放送された「人間無情」は、昔1人の旅人が洪水に巻き込まれて溺れかけ、その最中に溺れた蛇と狐を助けるところから始まる。
続けて旅人は溺れた人間の男も助け、2人と2匹は連れ立って旅をすることになる。医者だった旅人は長者や村人から尊敬を集めるが、その様子が面白くない男は、医者が妖術使いでみんなをだましているとウソをついた。
そのウソを信じた者によって医者は捕らえられてしまうが、蛇と狐が協力してなんとか助け出し、ウソがバレた男は逆に牢屋送りになる。この話が示した教訓は、動物は受けた恩を返すが、人間は私欲や嫉妬によって平気で恩人すら裏切るということ。
人間こそがもっとも愚かで無情といわんばかりの内容が胸に刺さる……。
■極限状態が暴く人間の欲望
人間が私欲のために、平気で恐ろしい行動をとる浅ましさを描いたのが、1994年に放送された「飯降山」だ。このエピソードは、ファンの間でも指折りのトラウマ回として名高い。
山で3人の尼さんが修行していると、ある日を境に毎日3つのおにぎりが空から降ってくるようになる。しかし、1人1つのおにぎりでは物足りなさを感じた年上の2人は、一番年下の尼さんを殺してしまう。
すると翌日からおにぎりは3つから2つに減ってしまう。最終的に、一番年上の尼さんがもう1人の尼さんも殺しておにぎりを独り占めしようとしたが、それ以来おにぎりが降ってくることはなくなってしまった。
一番年上の尼さんは、信仰の素晴らしさを体現するかのような、優しい笑顔がすてきな人物だと言われていた。そんな彼女が自身の飢えをしのぐために、笑顔のままで他人を手にかける姿は衝撃的だった。
それまでは、殺生を禁じられているがゆえに、草や木の実を食べる生活をしていたにもかかわらず、人は変わってしまう。どれほど慎ましい人間でも、極限状態になると何をしでかすか分からないという恐怖を突きつけられた。


