■欲望のために友を手にかける愚かさ

 他にも、自分の欲望のために仲の良かった友さえも手にかけてしまうという話は少なくない。1979年放送の「しゃれこうべの歌」は、千三と万三という仲良しの若者の対比が描かれる。

 ともに村を出た2人だが、千三が一生懸命働いているのに対し、万三はぶらぶらした生活を送っていた。3年後、故郷に帰った時に万三は千三の金を羨ましく思い、彼の首を切り落として、死体を近くのやぶに埋めてしまう。

 それ以降、千三のガイコツによる万三への長期的な復讐が描かれ、結果的に万三も首を切り落とされることになる。この「ガイコツが歌って復讐をする」というエピソードは、ドイツの『グリム童話』にも似たものがあった。

 また、1980年に放送された「佐吉舟」も、これとよく似た構図で描かれている。

 八丈島に住んでいた太兵衛と佐吉という2人の漁師は、子どもの頃から大の仲良しだったが、同じ娘を好きになってしまう。それを知った彼女の父親に「稼ぎの多い方に娘をやる」と提案され、2人は勝負を始めた。

 ある日、佐吉は大量に魚を釣るが、あまりの重さに船が沈んでしまう。その後、助けを求めて自身の船にしがみつく佐吉を、太兵衛は櫂で何度も打ちつけて海に沈めた。「くたばれ」と言いながら櫂を振り下ろす姿には本気の殺意がにじみ出ており、見ているだけで恐ろしかった。

 そして太兵衛もまた、佐吉の霊によって命を落とすこととなる。

 

 これらの作品に共通するのは、自分の利益のために旧知の友人を裏切ったり、手にかけたりしてしまう人間の愚かさだ。古くから語り継がれる逸話だけに、程度の差はあれど、人間の本質を突いているように思えてならない。

 だからこそ「罪はいつか自分に返ってくる」という教訓につながるのだろう。こうした人間の本当の恐ろしさが、『まんが日本昔ばなし』独特の柔らかなタッチで描かれているからこそ、よりいっそう行為の猟奇性が際立っていた。

 『まんが日本昔ばなし』には数多くの昔話があるが、鬼や妖怪よりも、もっとも怖いのは人間なのかもしれない。

 

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