■拓海が初の敗北を味わった戦い
三菱・ランサーエボリューションを操る「エンペラー」の須藤京一との一戦も印象深かった。日光・いろは坂を拠点とする京一は、徹底した合理主義者であり、4WD以外の車にはまるで興味を示さない。ハイテクな4WDシステムとミスファイアリングシステムを搭載したランエボIIIは、旧式のハチロクを物理的に追い詰めた。京一はハチロクを「10年以上前の遺物」と斬り捨て、圧倒的な加速性能でその差を見せつける。
この戦いは、拓海にとって初の敗北を突きつけられたものとなる。ランエボの暴力的な加速と京一の正確無比なライン取りに対し、拓海は限界を超えてエンジンを回し続けた。しかし、無理を強いられたハチロクのエンジンはついに悲鳴を上げる。激しい白煙とともにブローし、拓海はコース脇に力なく停止。走行不能のリタイアに追い込まれた。
しかし、この敗北こそがハチロクのエンジン載せ替えや、拓海がメカニックの重要性と向き合うきっかけとなる。壁を乗り越えてマシンとともに成長するプロセスは、『MFゴースト』で夏向が86をアップデートさせながら戦闘力を高めていく姿にも重なる。
■手に汗握るラストバトル
走り屋チーム「プロジェクトD」最後にして最大の戦いとなった神奈川エリア最終決戦。拓海の前に立ちはだかったのは、同じハチロクを操る若き天才・乾信司だった。
この一戦では、相手の視界から一瞬で姿を消す「ブラインドアタック」が勝機を作り出した。ヘッドライトを消して闇にまぎれ、相手のラインを奪うこの戦術は、視覚情報を遮断して感覚を研ぎ澄ます究極のドライビングテクニックだ。
しかし、ゴール直前にこの技で抜き返した拓海のハチロクがエンジンブローでスピンしてしまう。接触を回避しようとした信司も同様にスピン。その刹那、拓海はクラッチを切ってバック走行のままゴールラインを通過。まさに紙一重の差で拓海は劇的な勝利をおさめた。
手に汗握る超ハイスピードな展開は、ラストバトルにふさわしい伝説の一戦としてファンの記憶に刻まれている。
『MFゴースト』のレース展開を追うことは、同時に『頭文字D』で描かれた数々の名シーンを再発見する旅でもある。『MFゴースト』にハマったファンは、ぜひその原点である『頭文字D』のほうもチェックしてみてほしい。
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