大人気後日譚ファンタジー漫画『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人氏、作画:アベツカサ氏)には、個性的な女性キャラクターが数多く登場する。
主人公のフリーレンからして、1000年以上を生きるエルフでありながら、魔法集めと宝箱が大好きという可愛らしい一面を持つ。このように、一癖も二癖もある女性キャラが活躍するのも、本作の大きな特徴といえるだろう。
そんな中でも、ひときわ鮮烈な個性でファンから一目置かれているのがユーベルである。「一級魔法使い試験編」で登場した彼女は、あらゆる意味でネジの外れた言動もあって「ヤバい女」と評されることも少なくない。
直近のアニメ第2期では残念ながら出番はなかったが、依然として強烈な存在感を放つユーベル。今回はアニメ化されたエピソードをもとに、彼女の特異な魅力を振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■一級魔法使いを真っ二つにした「大体なんでも切る魔法」
最も印象的なユーベルのエピソードを1つ挙げるとすれば、第54話の「大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)」は外せないだろう。「一級魔法使い試験編」の第二次試験において、彼女が同名の魔法で窮地を切り抜ける話だが、そこでユーベルのキャラクター性が深く掘り下げられている。
ユーベルは、ラントやデンケンとともに一級魔法使い・ゼンゼの複製体に遭遇、倒さなければ先に進めない状況に陥る。三級魔法使いのユーベルでは本来勝ち目がない格上の相手だが、彼女は「勝てると思うよ」と臆することなく挑み、本当に「大体なんでも切る魔法」で複製体を真っ二つにしてしまうのである。
三級が一級(複製体)を撃破するジャイアントキリングだが、実は2年前の二級魔法使い試験でも、ユーベルは試験官だった一級魔法使いのブルグを下している。
鉄壁の防御術式を組み込んだ「不動の外套」をまとったブルグに対し、ユーベルはこの「大体なんでも切る魔法」で外套ごとブルグを切り裂いたのだ。殺害禁止のルールによってユーベルは失格となったが、その一部始終を目撃したゼンゼに「勝てるイメージが湧かない」と言わしめるほどの実力を見せつけた。
2度にわたる「試験官殺し」を達成する実力と、殺人すら厭わない異常性。彼女の魅力が色濃く描かれたこの第54話のエピソードをきっかけに、ユーベルに惹かれたファンも多いのではないだろうか。
■“共感”によって魔法のコピーも可能…イメージを何よりも優先する感覚派
「大体なんでも切る魔法」でゼンゼの複製体やブルグを切り裂くことができた背景には、ユーベルの独特な感性が大きく影響している。
ユーベルは魔法を使う際に“イメージ”を大切にしており、「大体なんでも切る魔法」でも「私が切れると思った物はなんでも切れる」と豪語している。
ゼンゼの複製体が操る長い髪も、ブルグの布でできた「不動の外套」も、彼女の中では「切れる物」というイメージなのだ。そのため、常識では考えられない防御術式すら切り裂くことが可能だったのである。
そんな感覚派のユーベルは、ほかにも常識破りの言動をくり返している。先のブルグ殺害の一件でも「…あー…切りすぎちゃった」程度のリアクションだけで罪悪感のかけらも見せず、初対面の相手から「人殺しの目をしているな」と言われることも。もちろん、本人はまったく気にしていない。その精神性は、常人には理解しがたいものである。
さらに、彼女は自分が共感した相手の魔法をコピーすることも可能だ。作中では、同じ受験者であるヴィアベルの「人を殺すまでに猶予が欲しい」という考えに共感し、彼の「見た者を拘束する魔法(ソルガニール)」を会得した。殺害に罪悪感はないが、殺すまでの猶予は欲しいという彼女の感性もまた、理解を超えた領域にある。
こういったユーベルの独特な感性について、ゼンゼは「最早人として成立している精神状態とは思えない」と分析している。熟練の一級魔法使いから見ても、ユーベルの異常性は際立っているようだ。


