実写化作品において「女子高生」は、数えきれないヒット作を生み出してきた鉄板のジャンルである。しかし、原作で輝きを放っていたヒロインをそのままスクリーンに登場させるのは、決して簡単なことではない。女優自身の魅力、役への深い理解、そして制服姿が見事に噛み合った瞬間、二次元のヒロインは初めて“現実の存在”として命を宿すのである。
今回は、実写化作品において「可愛すぎる女子高生」を完璧に演じ切り、その圧倒的な存在感で作品に命を吹き込んだ女優たちを振り返っていく。
彼女たちがどのようにキャラクターの魅力を引き出し、ファンの心を掴んだのか。そこには、のちにトップスターへと登り詰めていく彼女たちが放っていた、今見ても眩しすぎる「あの頃だけの輝き」が詰まっていた。
(第5回/全5回)
※本記事には各作品の内容を含みます
■見た目を裏切る「純粋さ」…山本美月さん『ピーチガール』安達もも
累計発行部数1300万部を超える上田美和さんの大ヒット漫画を原作に、2017年に公開された実写映画『ピーチガール』。
日焼けした肌と赤い髪という派手な外見のせいで、周囲から「遊んでいそう」と誤解され、根も葉もない噂に苦しむ女子高生・安達もも。その外見とは裏腹に、実は誰よりも一途で恋に迷走する純真なヒロインを演じたのが、当時ファッション誌『CanCam』の専属モデルとして絶大な支持を得ていた山本美月さんであった。
自他共に認める漫画好きとして知られる山本さんは、原作ファンが実写化に対して抱きがちな不安や戸惑いを誰よりも痛いほど理解していたはずだ。だからこそ、主演決定時には「やるからには文句は言わせない!」という強い覚悟を胸に撮影へ臨んだという。
その覚悟は、まず徹底したビジュアル作りにも表れていた。元水泳部という設定に合わせた日焼けした肌、赤みがかった茶髪、そしてモデルとして培われた抜群のプロポーションで着こなす制服姿。スクリーンに映る彼女は、原作の安達ももをそのまま現実に引き出したかのような説得力を放っていた。
外見を原作に忠実に再現することは、ももという女子高生ヒロインの内面的な葛藤や優しさを表現するための土台だ。その盤石な役作りが、山本さん自身の迷いのない演技につながったのである。
そして、そのビジュアルが最大限に活かされるのが、ももというキャラクター最大の持ち味である「ギャップ」の表現だ。
派手な見た目に反して、内面は驚くほど純粋で不器用。新田真剣佑さん演じる硬派な野球部員・東寺ヶ森一矢(とーじ)と、伊野尾慧さん演じる学年一のモテ男・岡安浬(カイリ)という、対照的な2人の間で揺れ動く繊細な恋心を、山本さんは真正面から体現した。
とりわけ、ワイヤーをつけて挑んだという中盤の見せ場は圧巻だ。
最強の恋敵・柏木沙絵(永野芽郁さん)の卑劣な罠によって窮地に立たされたももが、誤解を解くために病院の4階の窓枠に足をかけ、命をかけて自らの想いを伝えるその姿。さらには、スカートの中が見えることを気にして咄嗟に窓枠から手を離してしまい、とーじに助けられなければ一大事になっていた場面。
なりふり構わず想いを貫こうとする一方で、女の子としての恥じらいを捨てきれないその不器用な姿に、多くの視聴者が胸を打たれたはずだ。
山本さんは撮影当時24歳と、女子高生役を演じるには決して若くない年齢であった。しかし、実写化という高いハードルを原作への深い愛と確かな演技力で見事に乗り越えてみせた。
スクリーンの中にいたのは、友人に裏切られ、好きな人に突き放されても、懸命に自身の恋を貫こうとする「可愛すぎる女子高生」そのものであった。



