■帝国の歴史を背負う皇帝たち『ロマンシング サ・ガ2』
スーパーファミコン用ソフトの『ロマンシング サ・ガ2』(1993年、スクウェア)では、歴代の皇帝が皇位継承という形で主人公を交代していくシステムが採用されている。
プレイヤーは最初に主人公の名前を入力するのだが、ゲームが始まってすぐ登場するのは、名前を入力した主人公ではない。
最初にプレイヤーが操作するのは、レオンという人物である。レオンはバレンヌ帝国の皇帝であり、帝国の脅威となっている七英雄を打倒することを目的としている。帝国領に侵攻してきた七英雄の1人・クジンシーによって息子のヴィクトールが殺され、復讐戦を挑むのだが、クジンシーの必殺技「ソウルスティール」を喰らって絶命してしまう。
だが物語はそこで終わらない。レオンの死後、彼のもう1人の息子ジェラールが皇位を継ぎ、七英雄討伐の使命も引き継ぐのである。
レオンは命がけでソウルスティールを見切っており、その技術を「伝承法」と呼ばれる方法でジェラールに受け継いだ。見切りを得たジェラールは見事にクジンシーを打倒することになる。親子2代の力で強敵を打倒するこのシーンは、序盤屈指の名場面といえるだろう。
ジェラールが一定の役割を終えると、次代の皇帝へとまた主人公が受け継がれ、新皇帝は帝国領を広げつつ、各地で七英雄を打倒していく。世代が変わるごとに仲間の構成も変わるため、常に新しい感覚でのプレイが展開される。この世代交代と継承が、物語全体を貫く流れとなっているのだ。
その伝承は長ければ1000~2000年以上にも及び、いよいよ七英雄と決着をつけるという段階になって、最終皇帝が登場する。この最終皇帝が、ゲームスタート時にプレイヤーが名前を入力した主人公なのだ。この演出は、まさに鳥肌ものだった。
「ロマンシング サ・ガ」シリーズは、フリーシナリオというシステムを採用し、プレイヤーの選択によってストーリー展開や進行ルートが変わるのが特徴である。
ひとつの国家の歴史を紡ぎあげていくゲーム内容は、このフリーシナリオシステムと相性がよく、プレイヤーごとに異なる歴史を刻むことができるのが最大の魅力といえる。
それまで感情移入してきた主人公が途中交代することを、受け入れたくないと考えるプレイヤーも少なからずいるかもしれない。しかしここで挙げた3作品は、いずれも主人公の交代という手法を効果的に活かしていた。
主人公交代というドラマが作品により深みをもたらし、プレイヤーに壮大な物語や歴史を感じさせる役割を果たした名作だった。


