前半と後半で雰囲気ガラリの作品も! “主人公が交代”する懐かしの名作RPG『ファイアーエムブレム』に『FF8』、『ロマサガ2』も…の画像
スーパーファミコン『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』(ふたまん+編集部撮影)

 RPG(ロールプレイングゲーム)は、今やすっかりゲームのジャンルとして定着している。日本において、その草分け的な存在となったのが1986年に発売された『ドラゴンクエスト』(エニックス)だ。その人気シリーズをプレイしてきた人にとって、RPGとは「主人公が冒険の旅で少しずつ強くなり、仲間を集めてクリアを目指すもの」というイメージが強いのかもしれない。

 だが、ゲームハードの進化に比例して、ゲームで描かれる物語も壮大になってくる。そうなると、従来は最初から最後まで同じだった主人公が“途中交代”し、別視点の物語が幕を開けるという、1人の主人公だけにおさまらない作品も登場するようになる。

 そもそもRPGとは「役割を演じるゲーム」であることから、別に主人公が1人である必要はないのだが、1人の主人公に慣れ親しんだプレイヤーが戸惑ったのも事実である。

 そこで今回は、途中で主人公が交代するさまざまなタイプのRPGを振り返ってみたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます。

■前半と後半で親子2世代を描く『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』

 まずはスーパーファミコン用ソフトの『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』(1996年、任天堂)である。剣と魔法の世界を舞台に国家間の戦いを描く『ファイアーエムブレム』シリーズは、シミュレーションRPGの金字塔として知られている。

 その中でも『聖戦の系譜』は、異色の作品だ。物語は前半と後半の2部構成になっており、前半で戦う主人公はシアルフィ公国の公子・シグルドであり、彼を中心に戦いが繰り広げられる。

 これまでの本シリーズの主人公が持つ「最初は弱いが、だんだん強くなる」イメージとは違い、シグルドは最初から攻撃力が高く、馬に乗っているから機動力も申し分ない。正直めちゃくちゃ強いキャラなのだ。

 だが、物語は中盤で一変する。グランベル王国のアルヴィスの策略にはまり、油断したシグルド一行は、一斉攻撃を受けて全滅させられてしまう。シグルドをはじめ、これまで育てたキャラのほとんどを失うというこのイベントは「バーハラの悲劇」と呼ばれ、当時のプレイヤーに衝撃を与えた。

 そして17年の歳月を経て、物語後半はシグルドの子・セリスが成長し、父の遺志を継いで新たな主人公となる。

 強い主人公から一変し、セリスは若干弱めで最初は頼りない。そんなセリスの成長を助けるのが、新たに仲間として登場するシグルド時代のキャラの子どもたちである。彼らは両親のスキルを受け継いでいて、外見もどことなく面影が残っているのがニクい。

 こうしてプレイヤーは、父と子の2代にわたるドラマを体験することになる。この構造は、単に主人公が交代するというだけでなく、ゲームに「世代をつなぐ物語」という壮大なテーマ性を持たせているのである。

■過去と現在を往復する視点『ファイナルファンタジーVIII』

 『ファイナルファンタジーVIII』(FF8)は、1999年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)からプレイステーションソフトとして発売された、シリーズ第8作目である。

 物語の主軸となるのは、特殊部隊SeeD候補生のスコール・レオンハートだ。無表情でクールなタイプのスコールを見て、前作『FF7』のクラウド・ストライフを思い出したのは筆者だけではないだろう。

 クラウドもクールなキャラから一転、中盤以降は一癖も二癖もあるところを見せてくれただけに、このスコールも「きっと大きな秘密がある」と思わせてくれた。

 『FF8』には、「過去視点の物語の挿入」という面白い仕掛けがある。物語序盤、スコールたちは最初の任務でティンバーという地に遠征することになる。ここはかつて独立国であったが、現在はガルバディアという国の占領下に置かれていた。

 遠征の列車の中で、スコールは突如眠気に襲われるのだが、気づくとプレイヤーは夢の中でラグナ・レウァールというキャラクターを操作することになる。

 当初は、このラグナの物語に何の関係があるのか分からないのだが、やがて「夢」の舞台はスコールたちのいる時間軸から18年ほど前の時代であり、ラグナは当時のガルバディアの兵士であることがわかっていく。イベントが終了すると元の時代に戻り、再びスコールを操作することになるのだが、それ以降もたびたび過去のイベントが登場し、その都度ラグナを操作するのである。

 こうして2人の主人公の視点でそれぞれ別のストーリーを進めていき、後半で両者の背景が交錯することで、物語全体の厚みが飛躍的に増す構造になっている。ラグナはクールなスコールとは対照的に陽気なキャラクターで、意識的にギャップを狙っていると思われるのも個人的には好きな部分だ。

 前作からゲームハードがプレイステーションになり、映像面が飛躍的に向上。容量も大幅に増えて映画のような表現が可能になり、こうした複雑な物語構成やダイナミックな演出も実現するようになったのである。

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