■団地ごと入れ替えて居住区を作る前代未聞の作戦…フック星人

 『ウルトラセブン』第47話 「あなたはだぁれ?」に登場するフック星人は、マンモス団地を丸ごと入れ替えるという、前代未聞の大規模な作戦を実行した宇宙人だ。彼らはコウモリのような大きな耳が特徴で、目は退化しており、優れた聴覚を頼りに行動している。

 ある夜、深夜に帰宅したサラリーマンの佐藤は、妻と息子から知らない人扱いされてしまう。不思議なことに団地のほかの住人も彼のことを知らず、困惑した佐藤はウルトラ警備隊に通報。ダンとフルハシ隊員が調査に乗り出すこととなった。

 調査を進めると、この団地はフック星人によって乗っ取られており、本物の住人1万5000人は地下に閉じ込められていることがわかる。フック星人たちは夜になると住人たちを催眠状態にし、団地ごと地下で監禁。地上には自分たちの居住区を作り、宇宙から武器を搬入し、地球を支配しようと企んでいたのである。

 酒に酔っていたとはいえ佐藤が見間違えたように、フック星人は地球人に擬態するのも得意なようだ。それ以上に恐ろしいのは、団地を丸ごと入れ替えるという常軌を逸した大胆な発想そのものである。

 正体を突き止めたダンがウルトラセブンに変身すると、フック星人も巨大化して戦いに挑む。体操選手のように軽やかな動きと三位一体の連係攻撃でセブンを苦しめるが、最後はウルトラセブンのワイドショットによって倒された。

 目のないシワだらけ顔は非常に怖く、さらには人間に擬態したときの感情の読めない無表情さも底知れなく不気味な宇宙人であった。

 それにしても、マンモス団地を丸ごとすり替えるという途方もない作戦は、『ウルトラマン』シリーズの中でも屈指の奇策だろう。これほどの能力であれば、政府の主要機関を乗っ取ることも可能だったかもしれない。

 

 今回登場した宇宙人たちは、それぞれが個性的な姿をしており、実行した作戦も不気味で、巨大怪獣とはまた異なる恐怖を視聴者に与えた。

 特にペロリンガ星人は寓話『狼少年』の童話を引き合いに出し、フクシンに“宇宙人の自分と話していることを電話で通報しても、誰も信じてくれないはずだ”とつけ込み、見事に彼の心の隙を突いた。

 社会に潜み、人の心を操り、日常そのものを奪い去ろうとする。こうした宇宙人たちの狡猾で不気味な作戦こそが、昭和『ウルトラマン』シリーズの魅力の一つであると言えるだろう。

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