昭和の特撮『ウルトラマン』シリーズには多種多様な怪獣や宇宙人が登場するが、巨大怪獣たちよりもある意味で恐ろしいのが「等身大の宇宙人」であった。
彼らは見た目から人間とは大きく異なり、その顔や姿は非常に不気味。そして我々には想像もつかない狡猾な作戦で地球の侵略を企ててきた。
今回は、そんな不気味なビジュアルと作戦で、地球の平和を脅かした宇宙人たちを振り返っていく。
※本記事には各作品の内容を含みます
■孤独な青年に寄り添い穏便に誘拐を企てる…ペロリンガ星人
『ウルトラセブン』第45話 「円盤が来た」に登場するのが、サイケ宇宙人・ペロリンガ星人である。彼らの作戦は、武力ではなく人間の精神的な孤立を利用するものだった。
天体観測を生きがいにしながらも、孤独な日々を送る青年・フクシン。彼は深夜の天体観測を楽しんでいたが、隣人の騒音で集中できず、寝不足から仕事も疎かになる日々を送っていた。
そんな毎日に嫌気が差し、土手で物思いにふけるフクシンのもとへ謎の少年が訪れるようになる。彼はその少年に、人で溢れかえる汚れた地球よりも素晴らしいであろう“星の世界へ行きたい”と目を輝かせて語るのだった。
ある夜、フクシンは望遠鏡で謎の円盤を発見し、ウルトラ警備隊に通報する。だが、本部や天文台の観測チームからは、そのような報告はないと重要視されない。さらに後日、再び円盤を発見して通報するも、またも誤認と扱われ、フクシンは深く落胆してしまう。
そんなフクシンを自宅へ招いた少年。そこには高性能な望遠鏡がずらりと並んでおり、フクシンも大興奮。レンズを覗くと再び円盤群が見え、彼は少年にその事実を教えようとする。
すると少年は、これはペガッサ星雲の円盤群だと説明しながら、奥の光る部屋へと姿を消す。入れ替わるように現れたのは、真っ赤な体で鳥のような頭を持ち、全身にイボのような突起がある、とても奇怪な姿の宇宙人だった。
この宇宙人こそがペロリンガ星人であり、フクシンが見た円盤は星にカモフラージュされた彼らの侵略部隊だったことが発覚する。地球の専門家たちを星と誤認させて油断させ、侵略することが狙いだったのだ。
ペロリンガ星人は、それを見抜いたフクシンの直観力を褒め称える。そして、もはや誰にも信じてもらえない彼の孤独に寄り添い、彼の夢を叶えるために星へ連れていくと約束をするのだ。
だが、モロボシ・ダンや友里アンヌ隊員の機転によって円盤群の正体は暴かれ、ペロリンガ星人の計画はウルトラセブンに阻止されるのであった。
専門家たちを欺く偽装工作や、少年に擬態して地球に絶望した人々を穏便に拉致するという手段は狡猾で恐ろしい。その一方、光る部屋が眩しいからと襖を閉めたり、フクシンの頭を撫で、目線を合わせて語りかけるなど、恐ろしい見た目とは裏腹に非常に紳士的な振る舞いが、かえって不気味だった。暴力に頼らず心理的に追い詰める、知能的な侵略者であったと言えるだろう。
■人間を標本にする恐怖…容姿も不気味だった三面怪人ダダ
『ウルトラマン』第28話 「人間標本5・6」では、三面怪人・ダダが登場する。
物語の舞台は、バスの転落事故が相次ぐ奥多摩の日向峠。科学特捜隊のムラマツキャップとイデ隊員が調査に乗り出すが、彼らの乗ったバスも崖から転落してしまう。
これはすべてダダの仕業だった。ダダは山頂にある宇宙線研究所を占拠し、人間をミクロ化して標本を作るという恐ろしい作戦を実行していたのである。
黒と白の幾何学的な模様の身体、光る目、大きな唇が特徴的なダダのビジュアルは、一度見たら忘れられないインパクトを持つ。さらに、ダダは壁のすり抜け、透明化、瞬間移動といった多彩な特殊能力を操り、人間を追い詰めていくのだ。
特に印象的だったのが、研究所から命からがら逃げてきた所員の回想シーンだ。ドアを開けるとダダが立ちはだかっており、逃げ惑う先々で異なる顔のダダが次々と出現するのである。
瞬間移動を駆使して顔を変えながら執拗に追い詰めてくる演出は、まるで複数のダダに襲われているかのように錯覚してしまう。その異質さ、逃げ場のない恐怖に、当時の子どもたちは恐怖したはずだ。
その後、研究所に向かったムラマツキャップからの救援要請を受け、ハヤタ隊員がウルトラマンに変身して駆けつけた。ダダも巨大化して迎え撃つが、スペシウム光線を顔面に浴びるやいなや、研究所内へ逃げ込んでしまう。
ダダは通信機で母星の上司に「ダメだ……ウルトラマンは強い!」と訴えるが、上司は冷静に“標本を急げ”とまさかの催促。命令に従って再びウルトラマンに挑むダダだったが、結局、2度目のスペシウム光線を浴びてやられてしまった。
この回は、ダダの見た目の不気味さと人間が標本にされるシーンが強烈なインパクトを放っていた。その一方、瞬間移動が使えるのに「ダダ~」といちいち声を発するためバレてしまったり、上司に泣きついたりと、どこか間の抜けた一面もダダの魅力だろう。恐怖とユーモアが同居したキャラクターだった。


