少年漫画の主人公には数々のピンチが訪れ、時にはどうあがいても勝てないような強敵と対峙する瞬間もある。仲間が倒れ、敵には圧倒的な強さを見せつけられ、もう逃げるしかない……という状況は、まさに“絶望”に他ならない。
しかし、そんな空気を一瞬で変えてくれる存在がいる。それが“最強の師匠”だ。彼らが登場した瞬間、戦場の空気は一変し、それまで余裕を見せていた敵が警戒を強め、追い詰められた主人公たちに希望の光が差し込む。
今回は、そんな絶望的な状況をひっくり返した最強の師匠たちの、胸がアツくなる活躍シーンを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■強敵を退却に追い込んだ“三忍”『NARUTO -ナルト-』自来也
岸本斉史氏の『NARUTO -ナルト-』は、落ちこぼれ忍者・うずまきナルトが仲間たちとともに成長し、里のトップ「火影」を目指すバトル漫画である。
序盤で描かれたピンチの中でも特に印象的だったのが、ナルトとライバルのうちはサスケが、暁のメンバーであるうちはイタチと干柿鬼鮫に遭遇したシーンだ。サスケにとってイタチは実の兄であると同時に、同胞を皆殺しにした憎き仇である。
その姿を目にした瞬間、サスケは冷静さを失い、「千鳥」を発動させて突撃する。しかし、渾身の必殺技はあっさり受けとめられ、そのまま左手首をつかまれ折られてしまった。
一方のナルトは膨大なチャクラを練り上げ、「忍法・口寄せの術」を発動しようとする。だがその瞬間、鬼鮫が巨大な刀・鮫肌を振るう。鮫肌はチャクラを削り、喰らう刀だ。鬼鮫は術を発動できなくなったナルトにゆっくり歩み寄り、その腕を斬り落とそうとした。
その絶体絶命の瞬間、目の前に巨大なカエルが出現し、鬼鮫の攻撃を受けとめる。「お前らワシの事を知らな過ぎるのォ………」という言葉とともに現れたのは、ナルトの師・自来也。木ノ葉にその名を轟かせる「伝説の三忍」の1人であった。
自来也はナルトたちを守るため「忍法・蝦蟇口縛り」を発動。空間そのものを巨大なカエルの食道へと変え、生き物のようにうごめく“肉の壁”でイタチと鬼鮫を葬ろうとした。
ここで鬼鮫ははっきりと焦りを見せ、イタチはとっさに「天照」を発動、黒い炎で壁を焼き切って脱出。こうして暁は撤退を選択したのである。つい先ほどまで、ナルトたちを完全に追い詰めていた2人を、自来也は実力で退却させた圧巻のシーン。まさに“最強の師匠”だからこその、絶対的な安心感が描かれた場面だった。
■海軍大将をとめた“海賊王の右腕”『ONE PIECE』シルバーズ・レイリー
尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』は、海賊王を目指す主人公モンキー・D・ルフィが仲間たちと海を冒険しながら成長していく、世界的な人気を誇るバトル漫画だ。
作中で特に絶望的な状況として記憶に残っているのが、ルフィたちがシャボンディ諸島で海軍本部大将・黄猿と対峙した場面である。
黄猿は光の能力を操る「ピカピカの実」の使い手で、海軍本部最高戦力の1人。当然、ルーキー海賊たちに太刀打ちできる相手ではない。さらに、この時ルフィたちは激闘を終えたばかりで、すでに満身創痍の状態だった。特に、麦わらの一味の剣士ロロノア・ゾロは限界に近く、ほとんど動けない状態に陥っていた。
そんなゾロに、黄猿がゆっくりと狙いを定める。足先に光が集まり、トドメの一撃が放たれた──その瞬間だった。
突如、横から飛び込んできた蹴りがビームの軌道を逸らす。「若い芽を摘むんじゃない…」と不敵な笑みを浮かべながら現れたのは、1人の白髪の老人。これぞルフィの師匠的な存在であり、かつて「海賊王」ゴール・D・ロジャーの右腕と呼ばれた伝説の男、シルバーズ・レイリーだった。
レイリーは黄猿の光速移動の軌道を読み切り、剣でその進路を断つ。さらに、覇気をまとった斬撃で、海軍最高戦力と真正面から渡り合った。
それまで一方的だった戦況は、伝説の海賊の登場により一変する。レイリーは、ルフィたちが逃げる時間を稼ぐため、ただ1人で大将を足どめしたのだ。年老いた猛者が、世界政府の最強戦力と互角に戦うその姿からは、ルフィたちの未来を守るという強い意志が感じられた。


