1984年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、今や世界的な人気漫画となった鳥山明さんの『ドラゴンボール』。バラエティーに富んだ登場キャラが人気を博しているが、作中屈指の“やられ役”として知られるヤムチャも多くのファンから愛される存在だ。
特にサイヤ人編での栽培マンの自爆攻撃によって命を落とした場面は読者に大きな衝撃を与え、その無残な姿はネット上でイジられるほど。“ヤムチャ”と“無茶しやがって”をかけた「ヤムチャしやがって」という造語まで生まれ、いろんな意味で愛され続けているキャラである。
そんなヤムチャは、悟空にとって初めてのライバルであり、抜群の格闘センスの持ち主だったが、物語が進むにつれて周囲の戦闘レベルについていけなくなった悲しい側面もある。そこで今回はヤムチャというキャラクターの才能や意外性について、あらためて掘り下げてみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■女性が苦手でナルシストだった過去
もう忘れている人も多いかもしれないが、連載当初のヤムチャは砂漠を通る旅人を襲って金品を奪っていた盗賊で、なぜか女性を苦手にしていた。いかにもキザなナルシストだったが、見た目はワイルド風のイケメンで、一目惚れしたブルマから猛アプローチを受けて困惑していた姿が印象的だ。
そんなヤムチャは「砂漠の狼」の異名を持つ拳法使いで、素早いパンチと蹴りの連続攻撃「狼牙風風拳」といった必殺技を繰り出し、剣などの武器も扱う。
女性に対する苦手意識をなくしたいという願いをかなえるためにドラゴンボールを狙い、狼牙風風拳で空腹時の孫悟空を吹っ飛ばしたこともある実力者だ。
その後は悟空のジャン拳で吹っ飛ばされるも、すぐに立ち上がり猛然と襲いかかろうとするタフな一面を見せた。残念ながら勝利は逃したが、空腹状態とはいえ悟空を倒しかけたのは今となっては驚きである。
ただし、ここで勝ちきれなかったことが響いたのか、その後ヤムチャが名前のあるキャラクターに勝利したのは、幼少期のチチと占いババの戦士の1人、透明人間スケさんくらいである。
天下一武道会の予選や、ならずものの戦闘員などモブキャラには強さを見せるものの、名のあるキャラクターにはとにかく勝てない。出場した三度の天下一武道会は、すべて1回戦負けというのも、ヤムチャにかませ犬のイメージがついた大きな原因だろう。
■オリジナル技を編み出した発想力と光るセンス
かませ犬のイメージがついたヤムチャではあるが、実はオリジナルの技を編み出す発想力や戦闘センスには序盤から光るものがあった。序盤の彼の代名詞ともいえる「狼牙風風拳」は、『ドラゴンボール』の中でも有名な打撃技の1つといえるだろう。
打撃技といえば悟空が使ったジャン拳、狂拳、猿拳などはあるものの、読者にとっては狼牙風風拳のほうが認知度は高いかもしれない。ネーミングセンスの良さもさることながら、狼牙風風拳による怒涛の連続攻撃はシンプルに技としてかっこよかった。
第22回天下一武道会の天津飯戦では、さらにパワーアップした「新狼牙風風拳」を披露し、旧技の2倍となる1秒間に10発の打撃を繰り出している。
第23回天下一武道会では人間の体を借りた神様と戦い、「足元がおるすになってますよ」と指導を入れられたが、その神様も「あなたは強い。そりゃもうかなりのものです。動きを見ていればわかりますよ」と認めたほどの実力者である。
また、その神様が憑依した人間との戦いの中で、ヤムチャは新たに考案した必殺技「繰気弾」を繰り出す。球状の気を生み出し、指で自在に操作してみせた。
この繰気弾を神様(シェン)のあごにクリーンヒットさせたが、ダウンは奪えずに即座に反撃され、ヤムチャは敗北。これには神様も「いやいや じつにいい技でした…」と舌を巻くほどだった。
気弾を自在に操作するという発想は、その後戦闘レベルがインフレしていく中では定番になっていくが、それをいち早くオリジナルの技に落とし込んだヤムチャの戦闘センスと発想力は褒められるべきだろう。


