■海軍の一線で活躍するまさかの大出世…『ONE PIECE』ヘルメッポ
数多の海賊が大海原へと繰り出す大航海時代の世界を舞台に、“海賊王”を夢見る少年、モンキー・D・ルフィの冒険を描いた『ONE PIECE』。1997年から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった尾田栄一郎氏の作品で、今や国民的な人気を誇る作品となっている。
数多くの魅力的なキャラクターが登場する本作だが、なかでも意外な成長ぶりで読者を驚かせたのが、物語序盤に登場したヘルメッポであろう。
彼は海軍第153支部司令官・“斧手のモーガン”大佐の息子で、その権威を笠に着て横暴の限りを尽くす、典型的な“親の七光り”キャラクターとして登場した。
特徴的な二股に分かれたアゴと金髪のボブヘアといった容姿も相まって、多くの読者に強烈な悪印象を与えたが、ルフィとロロノア・ゾロの手によって父共々成敗されることとなる。
ここで退場かと思いきや、彼はその後、コミックスの扉絵連載『コビメッポの奮闘日記』にて再登場を果たす。
ヘルメッポはコビーと共に海軍に入隊。雑用係として不真面目ながらも海軍の一員として働いていたが、伝説の海兵モンキー・D・ガープ中将らのもとで特訓を経験し、心身共に劇的な急成長を遂げるのである。
「エニエス・ロビー編」でルフィらと再会を果たした際には、かつての面影がないほど精悍な顔つきの青年へと変貌していた。独特の形状をした「ククリ刀」を操る戦闘スタイルを確立しており、因縁の相手であるゾロとも刃を交えるなど、一海兵としての実力を見せつけた。
彼の躍進は止まることなく、現在は「海軍本部少佐」という地位に就き、機密特殊部隊「SWORD」の一員として最前線で戦いに臨んでいる。
序盤でルフィらに撃退された彼が、世界を揺るがす主要キャラクターたちと肩を並べることなど、当時の読者は予想だにしなかったのではないだろうか。ある意味、本作屈指のサクセスストーリーと言えるかもしれない。
初登場時は誰もが眉をひそめるような、卑劣な行動を取ったキャラクターたち。しかし、その後の過酷な運命や自らの選択によって、ただのクズキャラクターではなく、人間らしい弱さと成長を体現する存在として描かれた。
完全な悪人ではなく、弱さや環境ゆえに過ちを犯した“等身大の人間”だからこそ、彼らの贖罪や成長は読者の心に響くのだろう。
過去の過ちは変えられない。だが、それでも新たな善行や信念によって前を向こうとする彼らの姿に、思わず読者は惹きつけられることだろう。


