タツノコプロ制作のアニメ「タイムボカンシリーズ」は、昭和キッズにとって「偉大なるマンネリ」とでも呼ぶべきコメディ作品でした。
基本的には「正義の主人公と悪役3人組という構図」と「不思議でヘンテコなメカ」が登場し、あらゆる時代や場所を舞台にドタバタ劇を繰り広げるというコンセプトで描かれた、SFギャグアクションです。
1975年(昭和50年)に第1作『タイムボカン』が放送開始。続く第2作目の『ヤッターマン』は2年以上にわたる長期放送(全108話)を記録します。この『ヤッターマン』は後にリメイクされ、実写映画や異業種CMにもなり、さらにはVTuber化まで果たしている、まさにシリーズの顔ともいえる作品です。
ユニークなメカやコミカルな展開もさることながら、やはりタイムボカンシリーズの人気をけん引したのは「三悪」と呼ばれる3人の悪役たちの存在でしょう。
勧善懲悪のヒーローものながら正義の主人公サイドより存在感があり、視聴者からも愛された彼ら。シリーズを通して、女性リーダーの声は小原乃梨子さん、頭脳担当を八奈見乗児さん、怪力担当をたてかべ和也さんが演じ、盤石のトリオとしてファンから支持されました。
また「ブタもおだてりゃ木に上る」でおなじみの「おだてブタ」の声や、本人そっくりなキャラ「トミー・ヤマ」としても活躍した富山敬さんの存在感も忘れられません。「説明しよう!」のフレーズから始まる名ナレーションも欠かせない魅力です。
制作スタッフも豪華布陣でした。総監督の笹川ひろしさん、キャラクターデザインの天野喜孝さん(当時は天野嘉孝さん)、メカニックデザインの大河原邦男さん(『ヤッターマン』の途中から参加)、脚本の鳥海尽三さんなどが名を連ね、山本正之さんの主題歌は耳に残る名曲ばかり。日本アニメ界が誇るレジェンドたちがそろっていました。
同テレビシリーズは、1983年放送の第7作目『イタダキマン』でいったん幕を下ろしますが、平成になった2000年に『タイムボカン2000 怪盗きらめきマン』で復活を遂げ、2017年放送の『タイムボカン 逆襲の三悪人』に至るまで、放送局やかたちを変えながら愛され続けてきました。
基本的には「お約束」を楽しむ本シリーズではありますが、約50年の歴史を紐解くと、ギャグとダジャレに彩られたエピソードの中に、驚きの「衝撃展開」や現代では考えられない「トンデモ企画」がちりばめられていました。
そこで今回は、当時リアタイ世代だった筆者が、思わずツッコまずにはいられなかった歴代シリーズでの驚きのシーンを振り返ります。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■まさかのPTAが熱唱? 視聴者参加型コーナーが凄すぎた『ゼンダマン』
ギャグ路線を確立させた本シリーズでは、視聴者を巻き込む手法も極めて画期的でした。たとえば『タイムボカン』の第35話では、三悪のメカ設計担当・グロッキーが、ちびっ子から寄せられた「リクエストはがき」をもとに、カラスメカを作ったとマージョに告げるという、メタ発言全開のシーンがありました。
その遊び心は『ヤッターマン』でさらに加速。番組内でドロンジョがお茶の間に向かって直接話しかけたり、視聴者の子ども(役)と電話で話したりと、本編そっちのけで「コント」を繰り広げることもしばしばでした。
こうした“双方向”演出の極致ともいえるのが、1979年放送の第3作目『ゼンダマン』でおこなわれた「一般参加の歌唱企画」です。
それは主役メカ・ゼンダライオンがタイムトンネルを走行する際に流れる劇中歌『ゼンダライオン』を、一般募集したちびっこたちが歌うという内容。そして驚くべきことに、番組内で「○○市立△△小学校●年■組」といった学校名が公開され、さらに顔写真までバッチリ紹介されたのです。
一生懸命に歌う子どもたちの姿までアニメ内で披露される粋な演出に、視聴者はほっこり。しかし、コンプライアンスの厳しい現代なら、「全国放送に個人情報が流出?」と保護者が卒倒しかねないシーンかもしれません。
さらにその上を行く衝撃をもたらしたのが第44話でした。この回で歌声を披露したのは、なんと「PTAの皆さん」。幸い(?)なことに顔写真や校名は伏せられていましたが、PTAといえば「アニメや漫画の天敵」というイメージもあります。
そのPTAの大人たちがノリノリで『ゼンダライオン』を歌うシーンをリアルタイムで視聴し、子どもながらに度肝を抜かれたのを覚えています。


