■笑いながら世界を滅ぼす「神殺しのメラ」長田庄平

 最後に取り上げるのは、2023年公開の映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』で、メラを演じたチョコレートプラネット長田庄平さんである。

 メラは、これまでに数々の世界を滅ぼし、「神殺し」と恐れられる未来の指名手配犯だ。彼は地球の存亡を懸けた「世界滅亡ゲーム」を主催し、相棒のメロとともに遊び感覚で世界を破壊しようとする。

 ちなみにメロを演じるのは工藤遥さん。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』では正義のヒロインを演じた彼女が、真逆の悪役を演じるという点も、特撮ファンにとっては見逃せないポイントだった。

 派手なスーツと赤いシルクハットという出で立ちで、常に陽気に振る舞うその姿は、お笑い芸人としての長田さんのキャラクターそのものにも見える。だが、その雰囲気や振る舞いこそが、笑顔のまま世界を壊そうとする異常性を際立たせ、圧倒的な強者感と底知れぬ恐怖を生み出していた。

 そしてメラは、漆黒の仮面ライダーX(クロス)ギーツへと変身を遂げる。主人公仮面ライダーギーツの最強フォームであるギーツIXを反転させたようなその姿は禍々しく、圧倒的な力であまたのライダーを翻弄。変身後も余裕の笑みを崩さず、一度は世界を壊滅状態にまで追い込むという絶望的な姿を見せつけた。

 

 ふだん、お笑い界の第一線で活躍する彼らがひとたび悪役を演じたとき、そのギャップは作品に強烈なインパクトをもたらす。芸人に限らず、こうした「意外でありながら、振り返れば必然」ともいえるキャスティングの妙こそが、シリーズを長きにわたって楽しませてきた大きな魅力の1つなのだろう。

 作り手のこだわりと、それに応えるキャストたちの熱演。これからも『仮面ライダー』の物語を締めくくるラスボスの存在からは、目が離せそうにない。

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