■「家康俳優」を不動にした大御所・津川雅彦さん

 「家康俳優」として、大河ドラマの歴史にインパクトを残したのが名優・津川雅彦さんだ。

 津川さんは1987年の『独眼竜政宗』で、渡辺謙さん演じる若き伊達政宗の前に立ちはだかる徳川家康を好演。そして2000年の『葵 徳川三代』でも再び家康役を務め、その演技の集大成を見せた。

 津川がさん演じる家康は「狸親父」とも評されるような愛嬌とユーモアを兼ね備えていた。時に爪を噛むといった細かい所作を取り入れたリアリティあふれる演技は、多くの視聴者に「家康=津川雅彦」という強烈な印象を植え付けた。

 その一方で、天下人としての圧倒的な風格も併せ持ち、画面に登場するだけでその場の空気を支配するような威厳も放っていた。家康は数多くの名優によって演じられてきたが、津川さんの家康は特に印象深い存在なのである。

■子役から成人役へ…成長とともに同じ役を演じた俳優たち

 大河ドラマにおいては、ある作品で子役を演じた俳優が、のちに別の作品で同じ人物の成人期を演じたケースもある。

 小栗旬さん『秀吉』(1996年)で石田三成の少年時代(佐吉)を演じ、その13年後、『天地人』(2009年)では成長した石田三成役を演じている。

 『秀吉』出演当時は、まだ14歳だった小栗さん。清潔感と聡明さが際立つ演技を見せ、秀吉の体調を気遣い、温度の異なる三杯の茶を出す「三献の茶」の逸話を好演し、視聴者に鮮烈な印象を残した。

 そして『天地人』では、己の正義を貫く信念の強い武将となった三成を体現。義に厚く立派な武将へと成長したその姿は、小栗さん自身のキャリアとも重なるだろう。

 また、神木隆之介さんも同様のケースである。『義経』(2005年)で牛若(義経の幼少期)を演じ、その7年後、『平清盛』(2012年)で成長した源義経を演じた。

 『義経』出演当時、神木さんは11歳。幼さのなかに、透明感と気品漂う美しい表情が印象的だった。そして『平清盛』では、かつての純粋さを残しながらも、戦場を駆ける「戦の天才」としての義経へと変貌を遂げた。

 京の五条大橋で弁慶を相手に軽やかに舞う姿は、まさに伝説の牛若丸そのものだった。

 

 大河ドラマで同じ俳優が同じ役を再演することは大きな話題となるが、いずれの俳優も決して過去の演技をなぞることはない。時間の経過と共に役柄にも深みが出ており、より一層その歴史上の人物になりきっているのが魅力だ。

 今後、どのような俳優が再び同じ役で大河ドラマに帰ってくるだろうか。大いに期待したいところである。

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