■幽霊話はでっち上げだったはずが…season16第15話「事故物件」

 season16第15話「事故物件」では、ある目的から事故物件に住むことになった男が、資産家一家の遺産騒動に巻き込まれていく。そして右京は、その事故物件に興味津々で捜査を進める。

 物語の主軸となるのは、強盗事件で盗まれた現金を偶然拾った男・東大寺雅夫だ。ホームレスだった彼は、大金を隠すためになるべく安くて人が近寄らない家として、「事故物件」を選ぶ。

 その家では老人が病死したという話だったが、事件性はないはずだった。しかし、金の隠し場所を探していた東大寺は、天井裏で資産家・矢部泰造が遺した手紙を発見してしまう。そこには「この手記が発見される時、私はすでに殺されている」、「犯人を見つけた者には謝礼を支払う」と記されていた。

 雅夫は遺産欲しさに“泰造の幽霊が殺人だと伝えてきた”とでっち上げ、興味を持った特命係は捜査を開始。もちろん、右京の目的は幽霊の真相究明だ。結果的に、泰造は家族に疎まれ、かわいがっていた孫に殺害されていたことが判明。雅夫の幽霊話が嘘だったことも看破され、事件は解決したかに思われた。

 問題のシーンは物語の最終盤に出てくる。強盗事件の現金を返し、心機一転、事故物件で新生活を始める雅夫。母親に手紙を書く彼のかたわらには、その姿を穏やかな顔で見守る泰造の姿が……。雅夫のでまかせは、あながち嘘ではなかったのかもしれないという余韻を残し、物語は終わる。 

 幽霊がいると聞けば図々しく部屋に上がり込む右京と、お化け嫌いでなんとしても近寄らない冠城亘。まるで正反対の2人の反応も見どころである。

 

 本格ミステリーだけでなく、右京でさえ説明できない謎が存在するという『相棒』ワールドの奥深さ。怪奇現象に興味津々で幽霊に会いたい右京と、その存在を信じない相棒たちとの対比も、オカルト回の見どころである。すべての謎を解き明かさないこともあるからこそ、その余韻がファンの記憶に深く刻まれるのだろう。

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