事件解決後も残る謎…ドラマ『相棒』心霊現象がカギを握る「オカルト回」 右京さんの意外な一面も… の画像
相棒 season16 DVD-BOX II (C)テレビ朝日・東映

 放送開始から20年以上経った今なお、多くのファンに愛され続けるドラマ『相棒』。普段は冷静沈着な主人公・杉下右京が、意外な一面を見せてくれるのが「オカルト回」である。

 本格ミステリーのイメージが強い本作だが、実は意外と幽霊や超常現象を扱うエピソードも多い。幽霊に興味津々な右京が、好奇心をむき出しにして事件の捜査に乗り出し、積極的に幽霊を探す姿も印象的だ。

 こうしたエピソードでは、事件の解決自体はもちろん論理的におこなわれる。しかし、幽霊や超常現象に関しては謎が残されたまま終わるという、シリーズの中でもレアなエピソードが存在する。今回は、事件は解決したはずなのに「何か」が残る、独特の後味があるエピソードを振り返っていこう。

※本記事には作品の内容を含みます 

■謎の女性の正体は?season3第19話「異形の寺」

 season3第19話「異形の寺」は、事件の発覚のきっかけそのものが「幽霊」だったという異色のエピソードである。物語の冒頭、右京の相棒・亀山薫と記者・鹿手袋啓介が目撃した“衝撃のシーン”は、多くのファンの記憶に刻まれているだろう。

 後に薫の妻となる奥寺美和子をめぐって、いがみ合う薫と鹿手袋。険悪な雰囲気の中、ふと池に目をやった薫は、その端にひっそりとたたずむ全裸の女性を見つけた。異様な光景に急いで女性の元へと向かうが、そこに姿はない。2人は女性が池に落ちた可能性を考え、池をさらうことにした。すると、そこから人間の頭蓋骨が発見される。

 やがて右京たちは、この頭蓋骨から復元された顔にそっくりな尼僧の存在にたどりつき、その正体を暴き出す。実は、頭蓋骨で発見された女性の双子の弟が、訳あって自殺した姉に成りすまし、尼僧として生きていたのである。姉の頭蓋骨が、時を超えて弟の成りすましを暴いてしまうという、切なくも不思議な絆を感じさせる事件だった。

 しかし、冒頭に出てきた全裸の女性が一体なんだったのか、その謎が解明されることはなかった。そもそも、遺体は白骨化しており、たった今飛び込んだわけではない。さらに、鹿手袋が女性をカメラで撮ったのだが、そこには何も映っていなかった。 

 薫と鹿手袋の2人が同時に見ているだけに、見間違いや錯覚、幻覚とは考えにくく、「本物の幽霊だったかもしれない」とぞっとさせられる結末である。ともあれ、相棒だけが幽霊を見て右京は見られないという、両者にとってアンラッキーなパターンは、この時から始まった。

■この屋敷には何かがある…season11第7話「幽霊屋敷」

 season11第7話「幽霊屋敷」では、ある幽霊屋敷で起こる怪現象に、右京が好奇心をむき出しにして挑む。この回で特命係は、家じゅうに多数のカメラを仕掛け、おばけの正体に迫っていく。

 幽霊屋敷と噂される空き家で男性が行方不明になった事件について、調査を命じられた特命係。向かった家は豪邸ではあるが、庭の手入れがされておらず、草木は生え放題。家の中は懐中電灯なしでは歩けないほどの暗闇だった。

 家の中を回っても特に異常はない……と思いきや、甲斐享(カイト)が幽霊らしき影を目撃したことで事態は一変する。幽霊を追った特命係は、裏庭に埋まっていた白骨遺体を発見してしまうのだ。

 カイトだけが目撃したことに納得がいかず、幽霊探しに熱中する右京。カメラには、怪しげな白い影や、何もないのに動体検知が反応した謎の写真が残されていた。しかし、これらはいずれも、剝がれた外壁にセンサーが反応したことや、白骨死体を隠すために幽霊話が広められていたことなど、解けてしまえばなんてことない現象であった。

 こうして幽霊屋敷の謎は解明されたものの、1つだけ解決されなかったことがある。それは写真に映った人影のような跡である。これに対し、「よく見てください。女性の顔に見えませんか?」と右京は興奮を抑えきれない。幽霊屋敷の噂がすんなり定着したことや、屋敷の荒れ具合が尋常ではないことには、人知を超えた何かが絡んでいるのではないかと推測し始める。

 この物語は、右京が事件の調べ直しを提案し、カイトが速攻拒否するところで幕を閉じる。幽霊探しでテンションが高い右京と、幽霊に対して懐疑的であるが実はビビっているカイト。そのコントラストも面白いが、カイトだけが幽霊らしき影を見たことに嫉妬する右京の姿が、どこか可愛らしくもある回だった。

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