■“希望”を生かすために散った『ジョジョの奇妙な冒険』ウィル・A・ツェペリ
荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)にも、弟子を生かすために命をかけた師匠がいる。それが第1部に登場したウィル・A・ツェペリだ。
ツェペリは主人公のジョナサン・ジョースターに、吸血鬼と戦うための力である「波紋」を教えた。ディオ・ブランドーや吸血鬼を滅ぼすという共通の目的のもと、2人の師弟関係は時間とともに深いものとなっていった。
しかし、別れは突然訪れる。それが、ディオによって復活させられた騎士・タルカスとのチェーン首輪デスマッチだ。
タルカスは過去にチェーン首輪デスマッチで48人もの人間を葬ってきた強者で、ジョナサンとツェペリの2人がかりでも敵わなかった。ジョナサンは首をへし折られ、ツェペリは上半身と下半身を真っ二つに引き裂かれてしまう。
この衝撃的なシーンは、多くの読者の記憶に焼き付いていることだろう。その後、ツェペリはジョナサンを生かすため、残された力の全てを彼に託す。それによって超人的な力を得たジョナサンは、タルカスを打ち破り大逆転をおさめた。
ツェペリは自身の死を予言で知っていたが、その運命を受け入れ“希望”となる弟子を生かした。その覚悟と決断は、師匠としてあまりにカッコよかった。
■カリスマ性あふれる将軍の死…『キングダム』王騎
最後に紹介するのは、原泰久氏による『キングダム』(集英社)の将軍・王騎だ。王騎は圧倒的なオーラやカリスマ性を誇り、作中の兵士はもちろん多くの読者をも魅了してきた。
王騎はまだ未熟だった頃の主人公・信に何かを感じ取り、彼を導いていく。そして、自らの期待に応えて成長する信の姿を、どこか嬉しそうに見守っていた。そんな中、王騎は宿敵である龐煖と戦うことに。かつて王騎に敗れ再戦のために鍛え上げてきた龐煖に、王騎は苦戦を強いられる。
決着のきっかけとなったのは、2人の戦いに水を差すように放たれた1本の矢だった。矢に射抜かれた王騎はわずかな隙を見せ、その瞬間彼の胸を龐煖の矛が貫いた。
しかし、王騎は倒れることなく反撃に転じ、仲間とともに逃げる道を切り開こうとする。その際、信が王騎の馬にまたがり、手綱を取って退路を確保した。王騎の首を取らせない……。そんな仲間たちの思いもあってか、どうにか逃げ切ることには成功。それで安心したのか、王騎は信に自らの矛を託して息を引き取ってしまった。
王騎の突然の死は、残された者たちの気持ちを一新させ、自分たちで道を切り開く決意を芽生えさせるきっかけとなった。王騎の死は決して無駄なものではなかったのである。
ここで紹介した師匠キャラクターたちは皆、次世代に未来をつなぐことを考え、そのために自らが犠牲になることを厭わなかった。その潔い生きざまは、死してなお弟子や仲間たちの心に残り続けるのだ。


