■代償がエグい「真マッハ突き」

 作中でこれほど危険な必殺技はないと思ったのが、愚地克巳が考案した「マッハ突き」の進化版である「真マッハ突き」だ。

 克巳がもともと使用していたマッハ突きに、中国武術の要素が加わることで飛躍的にパワーアップしたこの技。その真髄は関節の使い方にある。

 関節が無数に存在することをイメージするだけで、正拳突きから繰り出される衝撃が劇的に増すのである。

 克巳は自らの技が完成に近づくにつれ、何もないところに正拳突きをしようとするだけで興奮を抑えられなくなる。真マッハ突きがどれほどの威力になるのか、自分でも分からなかったからだ。

 そして全力で突きを放った時、道場の窓ガラスがすべて割れてしまった。その威力は広範囲に広がる衝撃波の大きさからも伝わってくる。

 これほどの大技を何発も繰り出せるのか疑問に思ったが、その代償はすぐに明らかになった。イメージを大きくしすぎると、その分だけ肉体にも負荷がかかり、技の使用後には自身の腕や足も壊れてしまうのだ……。

 「史上最強」とも言われた怪物・ピクル相手にこの技を使用した際は、右腕の肉が削げ落ちて骨がむき出しの状態になっていた。まさに諸刃の剣であり、一撃必殺と呼ぶにふさわしい技である。

■見た目のインパクトが強烈な「パックマン」

 ビスケット・オリバは力自慢で有名なキャラクターであり、そんな彼にしかできない必殺技がある。

 オリバはトレーニングによって全身のあらゆる箇所に力を込めることができる。それを利用した技が「パックマン」で、絶対防御の態勢から相手の体を筋肉の壁で包み込み、そのまま押し潰すというものだ。

 この技を使う際、オリバの体は球体のような状態になって動かなくなる。その姿はまるで巨大な丸い岩のようだ……。そして相手が近づくと、蛇のように一瞬で獲物を捕らえて肉体の中に飲み込む。飲み込んだ後は、格闘技の必殺技とは思えないほど静かで地味な光景が広がる。

 ある程度時間が経つと飲み込んだ相手の体は吐き出され、戦意を喪失してしまう。「捕らえられたら最後」というのがまざまざと伝わってくる技であり、飲み込まれた者はゆっくりとオリバの肉体の力で潰されるため、地獄でしかない。

 刃牙はこの技を一度食らって放心状態となったが、二度目はオリバの鼻に指を突っ込んで逃れていた。オリバの急所を狙えば脱出可能かもしれないが、捕らえられる瞬間を狙わないとまず無理だろう。

 

 『刃牙』シリーズに登場する必殺技の数々は、その斬新な発想や着眼点が素晴らしい。そして、どれだけ奇想天外な技であっても、それにまつわるエピソードが真剣に描かれているからこそ、強く印象に残る。あなたの心に強く刻み込まれた必殺技には、どのようなものがあるだろうか。

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