現実ではあり得ないのに謎の説得力…握撃に真マッハ突きも強烈! 『刃牙』シリーズで飛び出した「ぶっ飛んだ必殺技」の画像
板垣恵介『範馬刃牙』第26巻 (少年チャンピオン・コミックス)(秋田書店)

 『刃牙』シリーズは、今年で35周年を迎える大人気格闘漫画だ。作者である板垣恵介氏は現在『刃牙らへん』(秋田書店)を連載中で、2月26日にはアニメ『刃牙道』の配信も開始された。

 作中ではこれまで数多くの格闘家が戦いを繰り広げ、いくつものベストバウトが生まれている。バトルの中には「必殺技」ともいえる強烈な攻撃も描かれているが、その多くが常識では考えられないものばかり。それもまた魅力の1つといえるだろう。

 現実では絶対にありえないが、技が完成するまでに語られる解説によって、「なんとなく実際にできそう……?」と思わされてしまう不思議な説得力もある。今回はその中から、あまりにも人間離れしていた「ぶっ飛んだ必殺技」を紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます。 

■“まさか”の連続…「蜚蠊(ゴキブリ)ダッシュ」

 主人公である範馬刃牙は多彩な必殺技の持ち主だ。その中でも一番驚かされたのが、ネーミングからして衝撃的な「蜚蠊(ゴキブリ)ダッシュ」だろう。

 刃牙は、ゴキブリが静止状態から一瞬で最高速度に達することに疑問を抱いていた。しかしある時、潰れたゴキブリを見た瞬間にひらめく。ゴキブリの体内がドロドロの液体状であることが、爆発的な瞬発力を生み出す鍵と気づいたのだ。

 刃牙は筋肉を極限まで弛緩させ、自らの体が液体になることをイメージする。そして、そこから一気に加速することで、人間には不可能な領域の超加速を可能にした。

 蜚蠊ダッシュの凄さが示されたのは、暴走族の特攻隊長・柴千春との戦いだ。刃牙は千春が構えた指先に自らの眼球を当て、指のほうを挫くと宣言する。千春はそんなことは不可能だと考え、また刃牙の目を潰すつもりもなかったため、当たる直前に指を引っ込めようとした。しかし、刃牙は蜚蠊ダッシュで突進し、千春の動きよりも速く眼球を当て、宣言通りに千春の指を挫いてしまったのだ。

 この派生技である「蜚蠊(ゴキブリ)タックル」は、父である範馬勇次郎にも披露して褒められていた。その際、勇次郎が「良き師を持った」と評していたが、それがゴキブリだと思うとシュールである。実際に刃牙はゴキブリが目の前を通ると礼儀正しくお辞儀をしており、種族を超えたまさかの師弟関係が成立したのである。

■シンプルだけど恐ろしい「握撃」

 「日本一の喧嘩師」こと花山薫の必殺技もまた規格外といえる。その名も「握撃」で、この技が初めて描かれた時、あまりの衝撃に目を疑った読者も多いだろう。

 花山は計り知れない握力の持ち主であり、ただ握られただけでも相当なダメージを受けることになる。その驚異の握力から繰り出されるのが握撃という技だ。

 これは両手で腕や足を強く握ることで血液の逃げ場を失わせ、血管を破裂させて体の内部から破壊する。この技を食らった相手は皮膚が裂けて大量出血し、握撃を受けた腕や足は使い物にならなくなってしまう。

 驚異の握力をそのまま武器にするという発想が斬新であり、さらに“ただ握りつぶす”だけではない点も面白い。最凶死刑囚のスペックは花山と戦った際、裸絞めを仕掛けて勝利を確信したが、絞め上げる腕を握撃で潰され、逆に窮地に追い込まれていた。

 どんな状況からでも逆転できるのが握撃の強みであり、花山にしかできない唯一無二の技といえるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3