松下奈緒さん主演のドラマ『夫に間違いありません』(カンテレ・フジテレビ系)がいよいよ後半戦に突入し、物語はさらなる混迷を極めている。中でも波紋を広げているのが、主人公・朝比聖子を取り巻く歪な人間関係と、聖子が「行方不明者を持つ家族の会」で出会った女性・葛原紗春(桜井ユキさん)の過去だ。
※本記事には『夫に間違いありません』第8話までの内容を含みます
■紗春に隠された事情が…?
本作は、聖子が発見された水死体を自身の夫・一樹であると勘違いし、その嘘を重ねることから始まる。
しかし、物語が進むにつれて、その遺体の正体が紗春の夫・幸雄だったと判明。さらに2年前のクリスマスイブ、紗春が幸雄を橋の上から突き落とした衝撃的な場面が描かれ、被害者と思われていた紗春の深い闇が浮き彫りになった。こうして物語は、単なる「遺体の取り違え」という構図を超えた、複雑なサスペンスへと変貌を遂げている。
紗春は当初、借金返済や保険金受領のために夫を手にかけたと見られていた。また、彼女自身、応援するバスケットボールチームが敗北すると「狼男」のように豹変すると話したり、些細なことで激昂する姿を見せたりと、何をしでかすかわからない危うい人物といった印象がある。
しかし、この「狼男」という言葉が、紗春ではなく夫の幸雄を指す言葉だった可能性も浮上している。もしそうであれば、彼女の動機は家庭内暴力への抵抗だったとも考えられるだろう。実際、娘の健康診断を拒否し続ける紗春の行動や、第7話で映し出された凄惨なリビングの様子は、単なる金銭欲を超えた切迫した事情を匂わせる。
一方、突き落とされる直前の幸雄が、ちょっとしたトラブルから一樹の免許証を奪っていたことが、後の遺体確認における決定打となった点はあまりにも皮肉な結果と言えよう。聖子が遺体を「夫に間違いありません」と断言したことで、紗春の完全犯罪が成立しかけたものの、同時に彼女は本来手にするはずだった保険金を失うこととなった。
■考察勢が注目するポイント
物語の後半戦を牽引するのは、宮沢氷魚さん演じる執念深い記者・天童弥生の存在だ。天童は、聖子の弟・光聖が起こした不祥事を足がかりに、一樹が生存している事実に行きつく。彼は紗春と手を組む立場を取りながらも、最終的には聖子と紗春の両方を自身の目的のために利用する目論見である。第8話では、天童がついに生きている一樹の姿を目撃する展開もあり、物語はよりいっそう緊張感を増している。
そんな中、考察勢が注目しているのが、第7話で描かれた幸雄殺害シーンと第1話の冒頭に提示された映像との差異だ。第7話の回想シーンでは、殺される直前の幸雄が車の助手席の手動ドアから降りる様子が描かれた。しかし、第1話の冒頭で男性が突き落とされる場面では、車両の自動スライドドアが開く様子が確認できる。
さらに、運転席から降り立った人物の服装や体格にも微妙な違いが指摘されており、一見すると紗春の過去の犯行を裏付けたかに見えるこの描写が、実は別の事件を示唆しているのではないかという疑念を呼んでいるのだ。
作中では、紗春が当時運転していた車と、聖子の現在の愛車が同車種であるという事実も明かされている。このことから、第1話冒頭の映像は過去の回想ではなく、「聖子が未来に引き起こす惨劇ではないか」と予想する声も多い。
もし第1話の冒頭映像が「未来」を描いたものであるならば、最後に橋の上で再び誰かが突き落とされるとき、象徴的なタイトル『夫に間違いありません』が誰の口から、そしてどの夫に対して発せられるのかが最大の焦点となりそうだ。各所に散りばめられた一見矛盾する描写が、パズルのピースのように噛み合った時、隠された本当の「タイトル回収」が果たされるのかもしれない。


