劣勢からどうやって?『キングダム』飛信隊軍師・河了貂の戦況を覆した「驚愕の秘策」“魏軍戦”に“毐国反乱戦”、“黒羊丘の戦い”でも…の画像
DVD『キングダム』3巻(エイベックス・ピクチャーズ)(C)原泰久・集英社/NHK・総合ビジョン・ぴえろ

 アニメ第6シーズンも好評を博し、続編の製作が決定した人気漫画『キングダム』(原作:原泰久氏)。本作の主人公・信が率いる「飛信隊」の快進撃を支えているのは、数々の戦術をひねり出す若き軍師・河了貂(以下・貂)の存在だ。

 信を筆頭とした武将たちの一騎討ちに痺れるシーンも多いが、それと同時に、後方で戦況を見極め、的確な指示を瞬時に出す貂のような軍師の頭脳戦も見どころの1つである。

 そこで、アニメ第6シーズンまでの内容に限定し、飛信隊の劣勢を覆した貂による「驚愕の秘策」を紹介していこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■後がない飛信隊を救った初陣! 隊長・信を囮に使った魏軍との隘路戦

 千人将へと昇格した信だが、軍師不在のために作戦が機能せず、連戦連敗を喫していた。それまで戦術を担っていた羌瘣が姉の仇討ちのために隊を離脱し、新たに加入した楚水も補給部隊を任されていたため、作戦は隊長・信と副将・渕が立てるほかなく、複雑な戦術を立てるのが困難だったからだ。

 信の千人将剥奪の噂も広がる中、飛信隊を心配した蒙恬の計らいで咸陽から軍師が派遣されることとなった。本来は蒙恬の弟・蒙毅が来る予定だったが、彼は別任務に就いていたため、代理として軍師学校で一緒に学んだ貂が送られてくる。

 当初、飛信隊の幹部たちは外部からの介入に難色を示し、信も貂との再会を喜んだものの、軍師としての介入は認めず、あくまで同行を許可するに留めた。

 しかしその直後、魏軍が山の麓にある崖沿いに攻め寄せてきて、飛信隊は苦戦を強いられる。敵軍には策略に長けた軍師・氷鬼もいることから、信の作戦では劣勢を覆せず、飛信隊は分断され、全滅の危機に瀕してしまった。

 周辺の地形をすべて暗記していた貂は「やっぱり代わろう」と信に切り出す。そしてとうとう信も「……分かったよ」と指揮を委ねることに。そしてここから、貂の軍師としての才能が開花する。

 まずは魏軍の包囲網を抜けて本陣を安全なところへ移動させつつ、その過程ではぐれていた味方の小部隊を合流させる。さらに、隘路の狭い道を通る敵部隊に少数で奇襲を掛けて退路を断ち、これを撃破した。

 この貂の策を見て、敵の軍師・氷鬼も即座に動き、すべての道に兵を送り込もうとする。敵が前掛かりになった隙をつき、貂は信率いる主力部隊を右方から本陣目掛けて突撃させた。だが、これにも素早く対応した氷鬼は、粘る信たちに対してさらに増援を送る。

 ここで敵の兵力が右方に集中したのを確認した貂は、隠していた別働隊を左方から突撃させて敵本陣の後方を突く奇襲を敢行。隊長である信を囮に使うという、誰も予想しなかったこの奇策は見事に成功した。

 電光石火の勢いで敵将を捕らえ、飛信隊は久々の勝利を手にした。この一戦を通じて、貂は軍師としての実力を隊員たちに認めさせたのである。

■昌平君の意図を瞬時に理解! 電光石火の戦術「包雷」の完成に一躍買った毐国反乱戦

 秦王・嬴政が成人となって迎える儀式「加冠の儀」を狙い、相国・呂不韋と太后がそれぞれ秦国への反乱を企てる。太后は自身の愛人・嫪毐を王として「毐国」を建国。偽の玉璽を用いて3万もの兵を起こし、毐国軍は首都・咸陽へと進軍を開始した。

 そして、呂不韋はこの混乱を利用して王族を根絶やしを狙うが、呂氏四柱の筆頭であり秦軍総司令官・昌平君は、呂不韋に見切りをつけ、秦王・嬴政側に付くことを決意していた。

 彼は弟子である貂へ向け、暗号文で咸陽での反乱計画を知らせる伝令を送る。この難解な暗号を貂は瞬時に解読し、昌平君の真意を理解。これにより、前線にいた飛信隊は隊を分けて迅速に咸陽へ戻り、道中で1万もの反乱鎮圧軍と途中で合流を果たした。

 だが、反乱軍の一部はすでに咸陽の城門を突破しており、飛信隊や鎮圧軍は城壁の前で大乱戦となる。信の活躍で王族は救出されたものの、この戦いに勝利するには敵将を討つか、城内に入って内側から門を閉ざす必要があった。

 数で劣る鎮圧軍だったが、そこへ駆け付けた昌平君の一団がわずか千騎で駆けつけ、反乱軍に奇襲をかける。昌平君は戦術「包雷」を仕掛けて、左右に部隊を配置し、反乱軍の指揮を執るワテギ(戎翟公)を囲い込む。

 この「包雷」とは、左右後方に壁を作って敵将の動きを封じることで、中央の主力部隊で首を取るという一撃必殺の戦術だ。だが、開けた戦場では反乱軍の後方に壁を作ることができない。そこで、昌平君は飛信隊や反乱鎮圧軍が乱戦を繰り広げている場所を壁として利用しようと考えたのだ。

 貂はその戦術をすぐに理解し、鎮圧軍の将軍たちに隊形を組み替えて壁を作るよう指示を出す。隊形を解けば敵の攻撃に耐えられないと反感を買ってしまうが、貂は昌平君と自分を信じてほしいと懸命に訴え、見事にワテギの後方に強固な壁を作ることに成功した。

 逃げ場をなくしたワテギは昌平君に決死の突撃をするも返り討ちに遭い、首を落とされた。結果、総大将を失った反乱軍は敗北し、咸陽は守られたのである。

 だが、総大将を討ってもなお、兵力は圧倒的に反乱軍の方が多い。この大勝後も貂は冷静に敵の退路をあえて開けて逃がすことで、無用な犠牲を抑える采配も見せていた。

  1. 1
  2. 2
  3. 3