■牛たちの怨霊を「ヤプール」が利用…ヒッピーが超獣化した「カウラ」

 続いては1972年放送の『ウルトラマンA』の第16話「夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男」に登場した牛神超獣「カウラ」だ。

 超獣攻撃隊TACの吉村公三隊員は、故郷の岡山へ帰郷する際、ひげ面でヒッピー風の青年・高井と出会う。高井は600万頭にも及ぶ牛の鼻ぐりが祀られた鼻ぐり塚を前にして「こいつらは人類に食われるためにのみ生存してるんだ」とバチあたりな態度をとり、祀られていた牛の鼻ぐりを腕輪代わりに持ち去ってしまう。

 その様子を見ていた異次元人「ヤプール」の手先である僧の姿をした男は、高井に対して牛の怨霊の呪いをかける。すると、高井が手首にはめていた鼻ぐりの周辺から毛が生えはじめ、さらに頭には2本の角まで現れる。

 やがて頭が牛のようになり、四つん這いで歩くようになった高井は鼻ぐり塚に向かうと、牛の霊に許しを乞う。しかし、その場に現れた僧によって、高井は巨大な超獣「カウラ」に変えられてしまった。

 TACが現地に向かうものの、超獣カウラが高井の変身した姿だと知ったため、むやみに攻撃できず、麻酔弾を使って鎮静化させる作戦をとるも失敗。ウルトラマンAとの戦いでは幻影術や破壊光線を繰り出して善戦したが、最後は鼻ぐりをはめられてカウラはおとなしくなった。

 こうしてウルトラマンAのおかげで元の姿を取り戻した高井は、自分の考えをあらためたようで、鼻ぐり塚の近くでまじめに働くのだった。

■宇宙人にさらわれ、怪獣に改造された女性の悲劇

 最後に紹介するのは1974年放送の『ウルトラマンタロウ』の第45話「日本の童謡から 赤い靴はいてた…」に登場するうろこ怪獣「メモール」だ。

 地球防衛組織ZATの北島哲也隊員には、幼い頃に仲のよかった少女・真理を目の前で何者かに連れ去られるという苦い思い出があった。その真理が、突如北島隊員の前に姿を現す。

 2人が再会を喜び合うのも束の間、真理は凶悪宇宙人「ドルズ星人」と通信。地球侵略の計画が順調に進んでいることを報告すると、真理はZATの基地へ侵入して破壊することを命じられる。

 実は幼い真理を連れ去ったのはドルズ星人であり、彼女を地球侵略のための手駒にするための改造が施されていた。彼女はドルズ星人の命令を受けてから50時間後、自動的に巨大怪獣メモールに変身するよう改造されていたのだ。

 そうとは知らぬ北島隊員は、今の自分の職場を知ってもらおうと真理をZAT本部へ招待する。しかし、これは規則違反となるためZAT内部で意見が対立、あくまで真理のことを信じ、仲間を説得しようとする北島隊員の姿勢に感じる部分があったのか、真理は涙を流しながらその場を立ち去る。

 その後、真理は追いかけてきた北島隊員に自身が地球攻撃用兵器だと告白し、自分を撃ち殺すよう懇願。しかし、北島隊員は真理を殺せず、彼女は怪獣メモールに変身してしまう。

 結局、メモールはウルトラマンタロウとの激闘の末、宇宙へと送られ、姿を消した。北島隊員と再会した頃はドルズ星人に従っていた真理だったが、幼なじみの誠実な姿に人間としての心が戻ったようにも見えた。


 このように意図せず怪獣となってしまった人間たちが迎える結末はさまざまだ。しかし、いずれの物語も、いち視聴者としていろいろと考えさせられる深いエピソードといえるだろう。

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