1966年放送の『ウルトラQ』を起源とする昭和『ウルトラマン』シリーズには、地球に潜んでいた怪獣から、遠くの星から飛来した宇宙人まで、さまざまな強敵が登場した。
怪獣たちの出自は千差万別だが、中でも特に多くの視聴者にトラウマを植えつけたのが、「もともとは人間だった」という怪獣である。意図せず怪獣になってしまった人間は、悲しい末路をたどることも少なくない。
そこで、もともと人間だった怪獣たちは、どのような経緯で変貌を遂げてしまったのか、あらためて振り返っていきたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■守銭奴だった少年が、金の亡者「カネゴン」に!?
最初に紹介するのは1966年放送の『ウルトラQ』の第15話「カネゴンの繭(まゆ)」に登場したコイン怪獣「カネゴン」だ。
振るとお金の音がする繭を手に入れたガキ大将の金男は、「今みたいな世の中、親よりお金のほうが大事だもんな」と豪語するほどのお金好き。そんなことを言っているとお金の亡者のカネゴンになると両親に脅されても、まったく意に介さなかった。
やがて彼が拾ってきた繭が巨大化し、金男はその繭の中に引き込まれてしまう。すると翌朝、金男はお金を主食とする怪獣カネゴンの姿となる。
カネゴンの左胸のメーターが体内に残されたお金を示し、これがゼロになると死んでしまう。金男から相談を受けた彼の友人たちが祈祷師に相談すると、工事現場の責任者であるヒゲオヤジが逆立ちした時、元の人間の姿に戻れるという。
胸のメーターがゼロになると死んでしまうため、子どもたちはお金を提供。しかし、カネゴンを満腹にするほどのお金を、子どもたちが持っているはずがない。そこで子どもたちはカネゴンを売り飛ばすことを計画し、これを聞いたカネゴンは逃げ出してしまう。
銀行に向かったカネゴンは、そこで大量のお金を食べるところを見つかって大騒動に。最後はゴタゴタの末、偶然が重なって工事現場のヒゲオヤジが逆立ち状態になったため、金男はカネゴンから人間の姿に戻ることができた。
どことなくユーモラスな雰囲気に満ちたカネゴンだが、欲深すぎる人間がひどい目に遭うという教訓が描かれたエピソードにも思えた。
■宇宙開発競争の犠牲となった「ジャミラ」が目指したのは…!?
続いてピックアップするのは1966年に放送された『ウルトラマン』第23話「故郷は地球」に登場した棲星怪獣「ジャミラ」だ。
東京で国際平和会議が開かれることになり、この会議に出席する各国の代表が乗った船や飛行機が爆破される事件が頻発。調査に乗り出した科学特捜隊(科特隊)は「見えないロケット」を発見し、追跡の末にロケットを撃墜する。
すると、ロケットの中から巨大化した怪獣ジャミラが出現。その姿を見た科特隊パリ本部のアラン隊員は、ジャミラの正体について語り出す。
アラン隊員の話によると、強国による宇宙開発競争がおこなわれていた頃、某国の有人衛星が帰還しないという事故が発生。しかし、科学の発展のために宇宙飛行士を犠牲にしたことが発覚すると批判にさらされるため、某国はこの事故を隠蔽したという。
一方、有人衛星に搭乗していた宇宙飛行士は、漂流の末にある惑星に不時着。あまりにも過酷な惑星の環境の影響により、彼は棲星怪獣に変貌を遂げる。さらには乗ってきた衛星を改造し、自分を見捨てた人類に復讐すべく地球に舞い戻ったのだ。そう、この宇宙飛行士の名前が「ジャミラ」だったのだ。
その事実を知って動揺する科特隊のメンバーだったが、パリ本部が下した命令は、ジャミラの正体を明かすことなく抹殺することだった。
結局、ジャミラは人工降雨弾によって弱点の水を浴びせられ、続いて現れたウルトラマンのウルトラ水流によって絶命する。
この戦いの後、科特隊は「人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂、ここに眠る」と刻んだ墓碑を残している。しかし、その裏に隠されたジャミラの悲しみを思うと、切なさがこみ上げてくる。


