■異例のスピード昇進が勘違いを生んだ!? 「ホーランド」
続いては、32歳という若さで中将まで昇進し、かつての自由惑星同盟の英雄「ブルース・アッシュビーの再来」と呼ばれたウィレム・ホーランドである。勘違いされがちだが、ホーウッド提督とは別人だ。
ホーランドは第11艦隊の司令官で、第3次ティアマト会戦においては、ビュコック、ウランフらの艦隊とともに帝国軍と相対する。そこでホーランドは友軍との連携を無視して勇猛果敢に敵陣に突っ込み、帝国艦隊を一時混乱に陥れた。
ホーランドは自艦隊の攻勢に酔いしれ、後退を告げるビュコックの命令を無視。だが、ホーランド艦隊の活動限界点を冷静に見極めたラインハルトの一転攻勢により、旗艦を粉砕されて戦死した。
ホーランドは傲慢で過激な発言を繰り返し、経験豊富なビュコック提督にも礼を失するような言動が見られた。とりわけ尊大さが強調された人物という印象が強い。
小さな戦果で天狗になり、戦場で無謀な攻勢をしかけて大失敗した提督として、無能だと感じた人も多いことだろう。
しかし、彼が若くして中将まで昇進し、艦隊司令官にまで上り詰めたのはまぎれもない事実である。当時、同盟史上最年少の中将であり、思い切った用兵で武勲を上げてきたと思われる。
彼の行動に対して総じて否定的だったビュコックも、彼のことを「先駆者」と呼び、部分的には理解を示すような発言もある。
実際、戦死することになった第3次ティアマト会戦においても、一時的とはいえ帝国艦隊を混乱に陥らせたのは確かだ。真に必要だったのは、彼を御する手綱を握る人物の存在だったのではないだろうか。
攻勢を得意とするホーランドを的確な状況で投入できれば、帝国軍の猛将ビッテンフェルトのように「ここぞ」という場面で敵にとどめを刺すための切り札として重宝されたかもしれない。
人の評価は、最後のイメージが悪いと一気に落ちてしまいがちだ。そういう意味では、彼がうぬぼれてしまうほど過剰な地位を与えてしまった同盟軍の落ち度であり、それまで積み上げた武勲を最後の失敗で帳消しにしてしまった哀しい提督にも見える。


