■負けず嫌いで子どもっぽい一面も?
古畑にはミーハーな一面や子どもっぽい振る舞いもみられる。その1つが、少女漫画好きという意外な趣味だ。記念すべきシーズン1の第1話「死者からの伝言」で、大人気少女漫画家の小石川ちなみと出会い、彼女の作品に感銘を受けたことがきっかけで、以来、少女漫画を愛読しているのだ。
また、有名人に会うとはしゃいでしまうところも、彼のキャラクターを語る上で欠かせない。普段は興味がない素振りを見せながらも、いざ大物を前にすると浮足立ってしまう姿が何度も描かれている。イチローと会った時には、握手をしてもらいサインまでお願いして大感激していた。
また、SMAPとの対決はよほど誇らしかったのか、ことあるごとに“SMAPの事件を解決したのは私なんです”とアピールするほどである。
そして、古畑の性格で特筆すべきは、その負けず嫌いな性質である。シーズン1の第5話「汚れた王将」では、今泉との将棋で負けそうになった瞬間、盤上をぐちゃぐちゃにして勝負を無効にするという暴挙に出る。「何するんですかぁぁぁぁ!!」と激高する今泉が不憫でならない。
シーズン2の第3話「ゲームの達人」でビリヤードをプレーした時は、うまくボールを撞けずに「マイキューじゃなきゃダメ」と言い訳をしていた。さらに自分よりうまい今泉のプレーを邪魔し、怒った今泉に追いかけられてそのまま追いかけっこ……。まるで小学生のようだ。
この負けず嫌いが最も色濃くあらわれたのが、スペシャル第1弾「笑うカンガルー」で描かれたセブンブリッジのシーンだろう。犯人たちとのゲームで不利を悟った古畑は、ゲームが成り立たなくなるのも構わず、「7」のカードを出さないという戦術をとる。これは「勝つためには何でもやる」という執念のあらわれであり、犯人と知恵比べを繰り広げ、常に勝利をおさめる刑事としての姿と重なって見えなくもない。
古畑任三郎は、一言では言い表せない、つかみどころのない人物である。そうした人間性は、対峙する犯人にとっては最大の脅威だが、視聴者にとっては「不思議なおじさん」としての魅力に映る。
犯人を追い詰める鋭い推理と、甘いものを愛し、勝負にムキになる子どものような一面。このギャップこそが、古畑任三郎というキャラクターが多くの人に愛される理由の1つなのではないだろうか。


