■恐ろしい威力を誇る「雷神」

 最後に紹介するのは「雷神」だ。この技は大林寺拳法において、秘伝中の秘伝とされている技である。その理由は、確実に相手を死に至らしめる殺人技だからだ。

 チンミの師であるヨーセン道士がこの技を体得して実戦で使用した際、あまりにも危険な技だったため封印されたという経緯がある。以来、大林寺拳法の奥義として師範のみに伝承されていたが、体得できた者はほとんどいない。

 どのような技かというと、第一段階として自分の経穴を突いて気を増幅させた上で、第二段階では相手の額、みぞおち、喉のツボを打ち抜く。要するに、自分をパワーアップさせてから、相手を殺す経穴を突くというわけだ。

 この技に関しては修行シーンは詳しく描かれていないが、奥義と聞くと当然真似したくなるものだ。もちろん、危ないので真似したのは第一段階だけだが、それだけでもなんとなく自分が強くなった気分になったものだ。

 チンミが作中でこの技を使用したのは2回だけ。使った相手はオウドウやボル将軍で、類を見ない強敵だったため、やむを得ず使用したかたちだ。ただ、チンミが経穴を完璧に突くことができなかったので、どちらも死亡していない。

 しかし、技が未完の状態でも2人にかなりの深手を負わせていた。格上の相手をそのような状態にする描写からも、雷神の完成形の恐ろしさがうかがえる。

 

 『鉄拳チンミ』に登場する必殺技には、なんとなく「自分にもできそう」と思えるリアリティと説得力がある。実在する中国拳法が関係しており、動きとしては真似しやすいこともあるだろう。

 そうした親しみやすさこそが、本作が長年愛される理由の1つでもあるのだろう。

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