■さまざまな出演機会に体を張って活躍!

 実は曽我さんは、スーパー戦隊シリーズ以外にもさまざまな特撮作品で活躍しています。

 1972年放送の『愛の戦士レインボーマン』は、アマゾンの魔女・イグアナ役だった塩沢ときさんがスケジュールの都合で再出演できず。急きょ設定されたイグアナの母・ゴッドイグアナ役を演じたのが曽我さんでした。

 この時、塩沢さんより10歳も年下の曽我さんが母親役を演じ、ゴッドイグアナのカツラは塩沢さんのものを再利用。メイクもかなり塩沢さんに寄せていたため、当時子どもだった筆者は両者の区別がつきませんでした。

 また、当時の小学生に人気を誇ったファンタジー特撮ドラマ『5年3組魔法組』(1976年)では、初レギュラーとなった魔女ベルバラがハマリ役に。彼女が子どもたちに渡した「MJバッグ」は憧れの的で、ベルバラはいじわるで怖い魔女というより、友だちのような存在に思えました。

 さらに曽我さんの歌うED曲『魔女はいじわる』は主題歌以上にインパクトがありました。

 そして『宇宙刑事ギャバン』のゲスト出演をはじめ、メタルヒーローシリーズでも活躍。『時空戦士スピルバン』(1986年)では女王パンドラ役としてレギュラー出演しました。

 ヘドリアン女王に匹敵する派手な衣装とメイクが目を引きます。同作と同じテレビ朝日系で放送された『ビートたけしのスポーツ大将』では、曽我さんはパンドラの衣装を着て100メートル走に参加。最下位で悔しがる姿が放送され、お茶の間のファンを驚かせています。

 特撮ヒーロー作品では「敵役」を演じてきた曽我さんは、『魔法戦隊マジレンジャー』(2005年)と劇場映画『魔法戦隊マジレンジャー THE MOVIE インフェルシアの花嫁』(2005年)にて、最初で最後の「味方役」を好演。その役柄は、同作に登場する天上世界マジトピアの長「天空大聖者マジエル」です。

 同役はもともと出演を予定していた岡田真澄さんが体調不良のために辞退し、曽我さんが担当することに。そして特撮番組においては、これが曽我さんの最後の出演となったのです。

■オバQ、007、ケメ子……声優としても魅せた圧倒的存在感

 曽我さんといえば、奇抜な女悪役を彩る独特のハスキーボイスが魅力で、声優としても活躍しました。

 18歳のときにNHK人形劇『チロリン村とくるみの木』(1956年)で声優デビュー。舌っ足らずな愛らしい口調で、幼いリップちゃん役を演じました。

 テレビアニメでは『オバケのQ太郎』(1965年)で主人公のQ太郎の声を担当。曽我さんが石川進さんとのデュオで歌う『オバQ音頭』は大ヒットを記録しています。

 昭和40年代から60年代の子どもであれば、町内の盆踊りや小学校の運動会などで、手足でQのポーズを作りながら踊った記憶があるかもしれません。

 他にも『(花の)ピュンピュン丸』(1967年)で怪力少女のケメ子、『サイボーグ009』(1968年)の1作目では、アニメ用に“子ども”に改変された007の声を担当。週5日放送の短編アニメ『カバトット』(1971年)のトット役、『ミクロイドS』(1973年)のマメゾウ役など、言われてみれば「あっ、たしかに曽我さんの声だ!」と納得するキャラを多数演じています。

 東映不思議コメディーシリーズ『バッテンロボ丸』(1982年)の主人公・ロボ丸、変わったところでは『星雲仮面マシンマン』(1984年)の相棒でボール型の小型ロボット・ボールボーイなど、特撮作品でも声優として存在感を示しました。

 また、セガサターン用ゲームソフト『天外魔境 第四の黙示録』(1997年)では、十二使徒のひとりであるマダム・アペティの声を担当。劇中歌『デブ礼賛』では、ぶっ飛んだ歌詞の曲ながら、曽我さんならではの力強い歌声を披露しています。


 多くの特撮ファン、アニメファンを魅了した名優・曽我町子さんは、2006年5月7日、すい臓がんで亡くなりました(享年68歳)。役者としての遺作は、PS2用ゲームソフト『宇宙刑事魂 THE SPACE SHERIFF SPIRITS』(バンダイナムコゲームス)のゲームオリジナルキャラの「暗黒銀河女王」役。

 ゲームでは挿入歌『暗黒銀河女王のブルース』の歌唱も担当しており、おちゃめな曽我さんらしいキュートな歌声を聞くと目頭が熱くなります。

 こうして思い返すと、昭和の子どもたちの記憶に残る曽我さんの存在は、いつまで経っても絶対的な「女王」として生き続けているのです。

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