■すべてを捨てて自立を選んだ無敵のレディ・藤堂静

 最後に紹介するのは、類の初恋の相手であり、F4全員が憧れる年上の女性、藤堂静だ。美貌、知性、家柄のすべてを兼ね備えた彼女は、つくしにとっても「靴はとびきりいいものをはくの」という名言と共に、憧れの存在として描かれている。

 ただし、初登場時の静に対し、必ずしも良い印象を抱かなかった読者も少なくないだろう。藤堂商事の社長令嬢である静は容姿端麗なモデルとして活躍しており、フランスから帰国するなり、(その当時の)つくしの想い人である類に抱きつきキスをした。

 あらゆる面でつくしとの格の違いを見せつけるその姿から、当初は意地悪なライバルキャラクターになるのではないかと思ったのは筆者だけではないだろう。

 だが、静は周りに同調することもなく、いじめられていたつくしを優しくサポートする。それどころか、フランスで国際弁護士になるという自身の夢を叶えるため、藤堂家の地位や生活をすべて捨てるという衝撃的な決断を下すのである。

 静はいわゆる「お姫様」としての幸せを自ら手放し、1人の人間として自立した生き方を選択した。その凜とした彼女の生き様は、連載から30年以上経った現代を生きる女性たちの価値観にも、強く響くものがあるだろう。

 

 『花より男子』に登場する女性キャラクターたちは、単に主人公やイケメンたちの引き立て役ではない。それぞれが信念を持ち、置かれた環境や運命に抗いながら力強く生きる彼女たちの姿は、大人になった今読み返すとより一層胸を熱くさせるものがある。

 今回紹介した3人のほかにも、本作にはつくしの母や親友の松岡優紀など、個性豊かな女性キャラクターたちがたくさん登場する。ぜひ彼女たちの生き様にも注目し、読み返してみてはいかがだろうか。

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