■新作アニメでは、“推し活系アニメ”が続々ランクイン!
また、海外で評判が高いのは続編だけではない。今期は新作アニメに関しても非常に豊作で、『死亡遊戯で飯を食う。』『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』などは日本国内での評価も高く、個性的でハイクオリティな作品が多いクールである。
海外でも「何を見るべきか、史上最も悩ましいシーズン」と話題になっており、その盛り上がりは同様のようだ。中でも話題になっているのが、今期放送中の“推し活系アニメ”たちである。
たとえば、師走ゆきさんによる少女漫画が原作となった『多聞くん今どっち!?』。本作は、推し活が生きがいの女子高生・木下うたげと、国民的人気アイドル・福原多聞のオンオフ激しめのギャップを軸に描かれるラブコメディ。海外の大手アニメレビューサイト「Anime Trending」にて、『地獄楽』『呪術廻戦』などを抑えて週別ランキングの2位にランクインしていた。
特に主人公・木下うたげの真っすぐな推し活ライフに新鮮さを覚えるファンが多いようで、「これが日本のOSHIKATSUか!」「私も日本に住んでみたい」と、アイドルへのひたむきな愛に心を打たれた人のコメントが目立つ。
また、男子高校生・山吹有栖と4人の少女たちによる青春と推し活が描かれた『真夜中ハートチューン』は、アニメランキングサイト「Anime Corner」のアンケートで常にTOP10入りしており、最新エピソードでは4位にランクイン。『葬送のフリーレン』『呪術廻戦』等のタイトルには及ばなかったものの、新作アニメの中ではトップの順位となっている。
同作は「声」だけを頼りに、主人公の山吹がかつての自分の推し「アポロ」を探すというストーリー。4人それぞれにフラグがちらつき、「一体誰がアポロなのか?」を考察していく謎解き要素も好評。「正体を見つけるのは難題になりそうだね」という意見や「彼(山吹有栖)は、ハーレム作品屈指のトップ主人公だ」と評する声もあり、ラブコメ特有の青春模様にも注目が集まっている。
■日本特有の静かな心理描写に「美しい…」の声
また、人見知りな小説家・高代槙生と、両親を事故で失った姪の田汲朝による不器用な同居生活を描いた『違国日記』も、海外ファンの間で話題に。原作はヤマシタトモコさんによる同名漫画で、2024年には実写映画化もされた作品だが、先に紹介した作品群と比べると、大きな展開や派手なアクションがあるわけではなく、比較的ゆっくりした情緒が丁寧に描かれている。
しかし、本作は世界中のアニメファンが投票するサイト「AniLab」にて、大型続編タイトルを抑えて1位に躍り出るほどの人気ぶり。性格も年齢も違う二人が、とまどいながら同じ屋根の下で暮らしつつ、静かにお互いの感情を描く作風は海外のアニメファンから好評の様子。
レビューを見ると「成熟したテーマをリアルに描いている」「悲しみ、憂鬱という現実的な内容だが惹きこまれる」「本当に美しい……」と、本作のリアルな感情描写に胸を打たれる視聴者が多いようだ。
またヤマシタトモコさんのSNSにも、海外のファンが殺到。「TOMOKO YAMASHITA先生はとんでもないセンスだ!」「あなたの作品は本当に素晴らしい」と、原作に惚れこんだファンから声援が寄せられている。文化や言語の違いを超えて、「喪失」や「他者と生きることの難しさ」を共有できる作品であることを、あらためて示した1作となっている。
大型続編の安定した強さや新作アニメの新鮮さが、海外でも幅広い支持を集めている今期の冬アニメ。派手さだけでなく、日本ならではの感情表現や文化的背景が海外の視聴者にも届いている点は、今クールの大きな特徴といえるだろう。何を見るか迷ってしまうほどの豊作シーズンは、国境を越えてアニメの多様な魅力をあらためて印象づけている。


